何が悪かったのだろうか?
何度も何度も自問する
けれど、答えは見つからない
monologue
<side Joka>
なにゆえ?
宇宙の常闇を眺めるたびに去来する、内への問いかけ。
何が悪かったというのじゃ?
最善を尽くしたというに。
現実は、願いを裏切って…
全てがなぎ倒され、消えていった。
まぶたを閉じればその光景が思い出される。
視覚にも、聴覚にも、厭になるほどリアルに。
その様を『天罰』と形容した者がいた。
莫迦らしい
軽い嘲りとともに、闇を睨みつける。
「神はとうに、妾たちを見捨てていたというに…」
+ + + + + + +
<side Fukki>
いったい何が悪かったのか?
常に、思考の根幹にある疑問。
なぜわしたちは失わなければならなかったのか?
未来を、故郷を、同胞を…
最後まで諦めなかったというに。
切実なる願いは聞き入れられなかった。
憎たらしい現実と、薄れてゆく希望。
腹立たしくも、もの悲しい思い。
誰にこの思いをぶつければいいのだろうか。
無常なものよ
深い嘆息とともに、まぶたを閉じる。
「わしたちには、恨み言を投げつける神すらおらぬ…」
+ + + + + + +
<side Oheki>
きっと、何が悪かったというのではないのだろう。
すべては必然的に起こりうることであり、私たちは既にそれを知っていた。
無意識のうちに。
ただ、それが到底受け入れられるものではなかったから、足掻いたのだ。
あのように醜く、愚かしく。
静かなる終末。
それを受け入れたなら、どんなになってただろう?
この星にいることもなかっただろうに。
いや…これもまた必然なのか?
ふと一つの問いが浮かぶ。
女禍がこの星の歴史を操るように、私たちも誰かに操られているのではないか?
その考えに、スッと薄ら寒くなる。
「ふ、埒もない」
その不毛さと、無意味さに一蹴して、上を仰ぎ見る。
月はなく、星が頭上に広がる。
「美しいものだ」
この数えきれぬ光のどこかに、私たちの故郷の欠片がある。
そして、それは新たな星の素となる。
私たちの思い出が星となるのだ。
「女禍、あなたが望んだ未来とは何だったのだ?」
孤立し、一人取り残されてまで望んだものとは…
「私はあなたの未来を打ち消すけれど」
見てみたいとも思うよ。
呟きは闇へと静かに溶けていった。
了
011104