―Web拍手御礼駄文『オモイ』シリーズ(アレンサイド)
―そうして『オレ』は『あんた』と出会った…―
―12―
…変なおっさんだと…そう思った。
…オレなんかに話し掛けてきて…と…
…けれど『おっさん』は『旅芸人』だと名乗り…そして…
「…僕は…この街に来たばかりなんだけど…路銀が尽きてしまって…サーカスで団員を募集していると言うのなら仕事があるかな?と思ったんです」
そう言った。
…『その言葉』で解った…
…この『おっさん』は…ただ『仕事』を捜していて…せっぱ詰まっていただけなんだと…
…だから『サーカスのチラシ』を拾って…『仕事』がありそうで…詳しいことを知りたくてオレに話し掛けてきた…
…ただそれだけだったんだと…
…『変なおっさん』だと思った…けれど…
…なんだ…単に気が付いてなかったんじゃないか…
そう思って『おっさん』に気付かれないよう必死で『左手』を隠す。
…ここでこの『おっさん』が『この左手』を見て逃げ出したら…またコジモに殴られる…蹴られる…
そう思って…
…でも…ああ…なんでだろう…
「…どうかしたんですか…?…」
『おっさん』が不思議そうに問う。
―いつの間にかオレは涙を流していた。
「…どこか痛いんですか…?…」
…心配そうに問われて…
…そんなの始めてで…
…なんだか余計…泣けてきた。
―続く―
【第13話】