―「あなたがいたから今、僕らはここにいられる、それだけで十分ですよ」―
 真っ直ぐにミランダさんを見つめ…笑みを浮かべて僕は言った… 
 ―「自分の傷は自分で負います、生きてれば傷は癒えるんですし」―
 …へっちゃらだとワザと軽く笑って…
 …そしてその僕の言葉を…
 ―「そうよミランダ」― 
 …リナリーの優しい…
 ―「お願い停めて…」―
 …笑みと言葉が後押しし…

 …そうしてミランダさんは…漸く発動を停めた…

 …涙で顔をくしゃくしゃにして…


 
―癒える傷(もの)と癒えない傷(もの)と― 


 …その泣き顔を…

 …ドタバタと走り去っていく足音を…

 …ミランダさんの悲痛な…絞り出すような…その『叫び』を…

 …薄れゆく意識の内(なか)で…僕は…確かに…見て…聞いた…

 …泣かないで下さい…

 …ミランダさん…

 …貴女は何も悪くないんだから…

 …僕らは大丈夫だから…

 …だって…

 …僕らは生きてる…

 …そう… 

 ―…傷は…生きてれば癒える…―
 ―…傷跡(あと)は残るけれど…―

 …でもそれは貴女の所為じゃない…

 …だから…

 …どうか…自分を責めないで…

 …自分を…傷つけないで…

 …そうじゃないと…癒えない傷を…貴女は負ってしまうから…

                                            ―終わり―