正月小説
☆初日の出☆
今日は1月1日。新年の始まりの日である。
これから崑崙山にも新しい日が上がろうとしていた。
まだ外は暗く、またよく冷えていた。
今の季節は冬。雲の上にあるため、雪が降ることはない。
それでも、風邪を引く者はいた。
そんな崑崙山脈の一つの山・玉泉山金霞洞。
数年前に新しい弟子・楊ゼンがやってきた場所である。
この朝早くにこの洞府にも行動が見られた。
「…ゼン、楊ゼン。」
「ん~?」
半分寝ぼけた楊ゼンが師・玉鼎の声で目覚めた。
「ししょー。何ですか?こんな朝早くに…?」
まだ眠たげな楊ゼン。
「初日の出を見に行かないか?」
「はちゅひので~?」
楊ゼンはその言葉を初めて聞いた。
「なんですか、それ?」
「正月に昇る太陽だよ。それを見に行かないかと聞いたのだ。眠かったら別にいいが…」
玉鼎は眠そうな楊ゼンを見ていった。
楊ゼンはしばらくボーっとしていたが、ついに
「…行く。見てみたい。これみなかったらあと365日またなきゃいけないんでしょう?」
「そうだよ。行くのかい?」
「はいっ!!」
楊ゼンはピョンっと寝台から飛び降りて顔を洗い、パッパと着替えた。
初めての体験だけあって、少々わくわくしているようだ。
玉鼎はまだ楊ゼンがちょっと眠そうだったので、
「おぶっていこうか?」
と聞いた。そうすれば楊ゼンは眠ってしまうだろうが、場所についたら起こそうと思ったのだ。
楊ゼンは
「うん。ありがとう。」
と答えた。
間もなく楊ゼンは玉鼎の背中の上で寝てしまった。
* * *
楊ゼンはその後岡の上で起こされた。
「私が知る限り、最高の場所だ。」
と玉鼎は言った。
「まだ来ないのかな~。」
楊ゼンは待ちわびている様子。
そこに。
「久々だのう。お主をここでみるのは。」
という声がした。
玉鼎が振り替える前に
「わー!!竜吉公主様と原始天尊様だー!!おはよーございます。」
楊ゼンがピョンピョンと走っていってしまった。
「おお、楊ゼンも久々だのう。明けましておめでとう。」
竜吉公主が楊ゼンを抱っこしながらいった。
「あ、あけまして…?」
「新年の挨拶じゃよ。」
原始天尊は言った。
「あけましておめでとうございます、原始天尊様、竜吉公主様。」
玉鼎も歩み寄った。
「明けましておめでとう…しかし、本当にここ出会うのは久々だのう。」
原始天尊は言った。
「ここ数年、新年楊ゼンを放っておくわけにはいかなかったので…でも楊ゼンも今日は連れてきました。眠そうだったのですが、見に行かないかと聞いたら行くと答えたので…」
「しかし新年初日から元気だのう。安心したわ。」
原始天尊は竜吉公主の側を走っている楊ゼンをみていった。
当時の楊ゼンはちょうと人間で言う遊び盛りの時期であった。
おまけにいろいろな物に興味を持つ年齢なので本当にわくわくしているのだろう。
ふいにあたりが明るくなりはじめた。
「おお、ついに来たか。」
竜吉公主が楊ゼンを抱っこして原始天尊と玉鼎のところに歩み寄った。
楊ゼンは玉鼎の腕の中にうつされた。
「楊ゼン、あの方角を見てごらん。」
と東の方をさしながら玉鼎はいった。
「んー?」
そこに少しずつだが赤く燃え上がる日が現れはじめた。
「わあーーぁ!!」
楊ゼンはその鮮やかな色に思わず声を上げた。
「このお日様が僕達をまた見守るのかな?」
楊ゼンは玉鼎に聞いた。
「そうだよ。だからこの時にこの年も無事である年であるよう祈るのだ。」
「へえ…」
楊ゼンはまた太陽に目を戻した。
少しずつだがゆっくりと太陽が昇ってきた。
楊ゼンはまだ幼いので、この時玉鼎が言った言葉の意味をよく理解できなかったが、
原始天尊、竜吉公主、玉鼎はすでに無病息災を願っていた。
もちろん自分だけではなく、自分の大切なもののためにも…
「さあ、もう帰ろうか。」
「え?もう?」
楊ゼンが物惜しそうに言った。
「これ以上見ていると君の目がつぶれてしまうからね。それに…君、まだ眠いだろう?」
「…うん」
ちょっと眠そうにしながら楊ゼンは答えた。
「帰ってまた少し寝たら、ご馳走が待っているからね。」
「いつもと違うの?」
「ああ。」
玉鼎は答えた。
「楽しみだなあ。」
「それでは私たちはこの辺で失礼します。」
玉鼎は原始天尊と竜吉公主に一礼すると、その場を立ち去った。
「幸せそうだのう…」
竜吉公主がつぶやいた。
楊ゼンは今度、抱っこされて帰ってきた。
やはりまた眠ってしまったのだった。
玉鼎はゆっくりと楊ゼンを寝台に運び、起こさないように寝かせた。
そしてそのあと料理場に行って、お節料理(もちろん生臭一切ぬき)を
用意しはじめた。
この時楊ゼンはゆっくりと深い眠りにつき、やがて夢を見た。
なすの夢を…
そのことを玉鼎に話して、玉鼎を驚かせると同時に喜ばせたという理由も、
まだ楊ゼンは知らない。
いずれ知ることになるのだが。
初めての初日の出は何百年たった今でも楊ゼンは覚えていた。
−THE END−
後書き
なんか、死んでこーい!!っていわれそうなほど駄文ですね。
しかもなんで茄子なのでしょう…
いっそ富士山にでもすればよかったかと思いましたが、
古代中国で富士山はないかと思ったので…
お目汚しで申し訳ありませんでした。
WRITTEN BY DOUKOU−MARIL
(道行マリル)
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ここまで読んでいただき、有り難うございました。m(_
_)m
