―いつもの様に人間の少女・大道寺繭良は燕雀探偵社にやって来ていた…
 …しかしたった一つだけいつもと違う事があった。

 闇野はいつもの様にお茶とケーキを来客のあった父親の書斎に持って行った。
 …するとそこには、いつもと同じように、明るく笑う人間の少女が、子供の姿の父と、子犬の姿の兄と共に楽しく時を過ごしている筈であった…
 …だが…その闇野の予想は…いともあっさりと裏切られた…
 扉を開けて中に入った闇野が見た物…
 それは…

 「あー!もう!絶対間に合わない!無理よ〜!」
 そう言ってテーブルに突っ伏して泣き喚く少女と、呆れた様な否実際呆れているのだろう様子でそれを見て嘆息する父親の姿だった…


 
神頼み―1―


 「あ〜ん!補習なんてヤダ〜!」
 「…まゆら…それなら泣いてないで、ちょっとは真面目に勉強したらどうだい?」
 「無理よ〜だって全然分かんないんだもん!もう間に合わないよ〜!」
 「ロキ様?まゆらさんどうしたんですか?」
 「…どうもこうも…試験の成績が悪くて補習受けさせられそうなんだって…」
 「…それって…」
 「…今日が試験の1日目だったの…でも…全然分からなかったの〜!このままだったらワースト10に入っちゃう〜!」
 「…あの?まゆらさん?」
 「要するにまゆらは結果が出る前から諦めてるんだよ…」
 「そんな事ないモン!結果ならもう出てるもん!全然分からなかったんだもん!」
 「…だからそれは今日の試験で…明日と明後日がまだあるって言ってたじゃない…」
 「無理よ〜間に合わないわ〜!…あ〜ん!神様〜!」
 「…まゆら…確か神様の事信じてないんじゃなかったけ?こんな時だけ頼られる神様も良い迷惑だよね…」
 「ぶぅ!ロキくんの意地悪!だって仕方ないじゃない!どうにも…あれ?ロキくん…どうして知ってるの?私が神様信じてないって…」
 「それは…っと…えーと…僕が探偵だからっかな?」

                                  ―続く―