―『キミ』は『俺』の『オヨメサン』―
―序章―
「…くぅっ!…なっ!なんでっ!!」
…凄まじいまでの苦痛と憎悪に顔を歪ませながら…その女は叫んだ…
…目の前に立つ、金髪碧眼の少年と幼子…同じ色彩を持つ二人の子供に向かって…
「…何故だと?…それはこちらが言いたいことだな」
…冷ややかな…絶対零度の眼差しで…低い声で…少年が…
「…だ…だいじょ…ぶ?…お…ねぇ…ちゃ……」
…微かな怯えと…けれど心配そうな眼差しで…舌っ足らずな口調の…幼子が…
…確かに…ほんの一刻前まで…優しい笑顔を幼子に向けていた…
…現在は暗殺者となって…牙を剥いてきた…
…その…世話係の女に言った…
…そして『俺』は『キミ』と『会う』―1―
「火影様任務完了致しました…っと…なんだ珍しい、カシンじゃねぇか!どうしたんだ?火影様は?」
そう言って火影の執務室に入ってきたのは、奈良シカク…旧家奈良一族の当主だった…
「…三代目の爺様ならいないぜ…俺は留守番…」
ムスッとした様子でそう言ったのは十歳前後の少年で…名前を『たきカシン』と言う…一見ただのアカデミー生の様だが実は暗部に所属している…
…この少年は三代目火影の『お気に入り』で、もっとも信頼する腹心でもあった…
「…?いない?どうしてだ?」
…これは本気で珍しいとシカクは眉を寄せる…普段なら連れ歩くことはあっても、留守番させることは滅多に無いからだ…
「………『うずまきナルト』が『また』殺されかけた」
…暫しの沈黙の後に、カシンは不機嫌そうな様子でそっぽを向いてそう言った。
「…はあ…またか…それで火影様がか…うん?でもどうして『おまえ』をおいて行くんだ?それなら尚のこと連れてきゃいいだろうが…」
…カシンの言葉にシカクはなるほどと火影の不在の理由と少年の不機嫌の理由を察する…
「…うずまきはおまえの…」
「シカク…滅多な事は口にするな…が…爺様が『俺』を連れて行かなかったのも『それ』が理由だ、今回の首謀者に『たき』と『うずまき』の関係を完全ではないまでも気付いたヤツがいたらしい」
「…はあー…なるほど…それでか…」
シカクは納得し…軽く頷く…
…だが…少年はそれが不満だったらしく…
「…爺様の…気の回し過ぎだ…」
…拗ねた子供の様に…否実際子供なのだが…
…そっぽを向いて…そう言った…
―続く―
―あとがき―
こんにちは、RINです。
これは『オヨメサン』シリーズの本編エピソードになります。
…だいぶ間が空いてしまいましたが、ようやく取り敢えず、書き上がりました。
…と言っても…まだ序章の第1話…まだまだこれからなのですが…
…暫く更新が停滞していたので、非常に申し訳なく思っております。
だいぶ作業に時間をとれる様になったので、これから頑張って色々書いていきたいと思っております。
―それではまたの機会に―RIN―