『すぐに来なさい』という『女王』からの伝言に… そしてそれを持って来た、従姉妹であり幼馴染みでもある、アルテミス=インバースの様子と、そして何よりも彼女がアルバイトを押してわざわざ自ら伝言を持って来たという事実に、バレヌゥスは何だか底知れない不吉な予感の様なモノを感じ… 「…何だか…面倒な事になりそうだなぁ…」 と、小さく嘆息混じりに呟き、無造作に一纏めに束ねていた栗色の髪を解くと、作りかけだったジャムの最後の仕上げをし、後片付けを始めた… 奇蹟のパテェシィエ―2― バレヌゥスは取り敢えず仕上げたジャムを瓶に詰めて、王宮へ向かった… 本来なら今日はパテェシィエの仕事を休みにしている為…(バレヌゥスの本来の立場は神官だったが…そちらの方は殆ど開店休業状態の様なものであった為に…普段は従姉妹の影響でしていた菓子作りがきっかけとなって、始めたバイトのパテェシィエを趣味と実益を兼ねて王宮の料理長の下でしていた…)王宮に行くつもりはなかったので、バレヌゥスは私服だった… …私服である為に一瞬迷った…このまま『女王』の下まで行って良いものかと… 通常であれば…バレヌゥスにとって私服で王城に行く事は特に問題では無かった…たとえ会う相手が女王であったとしてもだ… ゼフィーリアはあらゆる意味で他国とは異なる特殊な国だった… ゼフィーリアには女王や王の称号を有する存在(もの)が複数存在し、王族は存在しない。否、通常意味する所での王族は存在せず、公的な立場での(外向的な意味合いでの)王族(ゼフィーリア王家と言った場合一般的にはこちらを指す…)は存在し、そして実質王族に相当する、否ことによっては他国での王族以上に重要な一族が存在していた。 …その一族は様々な特殊な掟や役割を持ち、その一族の存在はゼフィーリアの最大にして最高の秘匿事項でもあり…(公的には存在しない事になっている…)ゼフィーリア国内でもどれほど知られているのかかなり怪しいものがある程であった… 通常一族の者ではない一般人が女王と言った場合それは公的な表向きの王室の代表者としての女王を指す、だが一族の者にとってはそれはその時々に応じ異なる意味を持ち、それを常に的確に判断する必要のある言葉だった… …そしてバレヌゥスやアルテミスはその一族の者であった。 今回バレヌゥスにとって重要であったのは、アルテミスが『女王』と言った事だった。 一族の中で女王の称号を有しうる存在は複数いた、だがアルテミスが『女王』と呼び、その使いまでする相手となると、バレヌゥスの知りうる限りそれは唯一人しかいなかった… そう『永遠の女王』『エターナル・クイーン』… 国民はおろか一族の者にすらも滅多に姿を見せないゼフィーリアの女王… 『女王』の間に入る事は一族の者であっても許されないと言われている… そう唯一の例外を除いて… …そしてその例外こそ『インバース』の名を持って生まれた赤き瞳の姉妹… …人でありながら、人ならざる力持ちし…運命の姉妹… バレヌゥスの従姉妹であるアルテミスは、そのインバース家の姉妹の姉であり『赤の竜神の騎士』の称号を持つ存在だった。 ―続く― |
―あとがき― RIN:皆様いつもどうもお世話になっております、RINですm(_ _)m 今回はゼフィーリアの特殊性についてちょっとだけ書かせて頂きました… …そう!まだちょっとなんです!流石ゼフィーリア! インバース姉妹の故郷はやっぱり一味も二味も違いますね! L様:って!そういう設定にしたのあんたでしょ! RIN:わっ!エエエ…L様! L様:んっんっんっ!随分うろたえるのね〜、何か疚しいことでもあるのかしら〜? RIN:いいえ!そんな!まさか!ありませんよ〜 L様:あらそうなの? それじゃあ聞きたいんだけど、あたしの出番はまだ? 確かあんた言ってたわよね? もう一寸したらあたしを書くからもう勘弁して欲しいって (以前のお仕置きの時に…) RIN:ア…アウアウ… そ…それは… L様:まさかその場限りの口から出任せだった…なんて言わないわよね? RIN:ま…まさか…そんな… あ…あと一寸…あと一寸なんです〜! ホントです〜(T_T) L様:そうそれは良かったわv それじゃあ楽しみに待っているからねv(にっこり) ―そうしてこれ以上は無いほど極上の笑みを浮かべてL様何処かへと姿を消す… RIN:…た…助かった… …けど…なんか…またヤな予感が… L様…またなんか企んで…(ゾッ!) こ…これ以上は言わない方がいい…か…な…ハハ… まあ!何はともあれ、皆様にはご挨拶を… ここまでお読み下さった皆様、お付き合い下さりどうも有り難うございました。 この連載、凄く長くなりそうな感じですので、長い目で見てやって下さい。 お願い致します<(_ _)> ―それではまたの機会に―RIN― |