侍従長との会話を思い出しつつバレヌゥスは王宮の私室で神官衣に着替え始める…

 一応の職場である大神殿の、取り敢えずの上司にあたる、神官長の下へ向かうべく…
  

 
奇蹟のパテェシィエ―4―


 「…そのことでしたら…バレヌゥス様…王宮大神殿の神官長様の所にお行き下さい…」
 頭に僅かに白い物が混じり始めた、初老の男性…ゼフィール王宮本宮侍従長は沈痛な様子で申し訳なさそうな表情でそう言った…
 「…え?でもテミスは…女王…いえ『クイーン』がお呼びだと…」
 侍従長の言葉にバレヌゥスは、何だか話しが違うような?などと思いつつ、そう問い掛ける。
 「…はい…確かにテミス様より『永遠の女王』からバレヌゥス様に勅命があると伺ってはおりますが…」
 言い辛そうに…心なしか僅かに低くなった様に思われる声で侍従長は言う…
 「ちょ!?勅命!?何でよりにもよって!?僕なんて会ったことも無いっ!て言うか『あの御方』が僕等に勅命なんてそれこそ何百年振りってぐらいの!…一体なんで…」
 バレヌゥスは混乱し、思わず悲鳴を上げる。
 そんなバレヌゥスの様子に余程珍しいのか、一瞬侍従長はキョトンとした様子で目を白黒させるが、すぐに無理もないと思ったのか、話しを再開する。
 「…さあ?まあそれでテミス様からのご伝言で…バレヌゥス様が来られたら、大神殿の神官長様の所に向かわれるようにと…」
 「…テミス…それならそうって言ってくれたって…」
 侍従長の言葉にバレヌゥスは、何だか従姉妹にたらい回しにされている様な気がして、無性に悲しくなって…
 …と同時に…これから起こる事は、ますます面倒事であるような予感を覚えた…
 「…まあ…でもバレヌゥス様…あくまで私の勘なのですが…どうもバレヌゥス様に直接ご用があるのは、どちらかというとテミス様の様でしたよ…」
 「…テミスが?…でも結局『女王』絡みなんだよね…勅命なんて言葉が出てくるって事は…」
 侍従長の勘はよく当たる…少しだけ慰めになるような気がするが…だが…
 …結局…面倒事であるだろうという事には違いない、そう思いつつバレヌゥスは侍従長に感謝の意を述べ一礼し、踵を返した…

                                  ―続く― 

 ―あとがき―
 こんばんは、皆様RINですm(_ _)m
 済みません…今回も短いです…理由は前回と同じです…
 
                        ―それではまたの機会に―RIN―