―子供達の企て― 《1》
―ここ数日…弟子達の様子がおかしい…
―そう思いながら、崑崙教主・原始天尊は表面上は何事もないように振る舞う白鶴童子を見て思う…
…いつもと変わらないのは普賢と呂望だけかと…
―普賢と呂望は原始天尊が最近、数百年振りに取った直弟子だった。
不意に白鶴と目が合う、問い質そうかと思った時には、もう白鶴はその場にはいなかった…
…原始天尊と目が合った途端に、白鶴はその場から大慌てで逃げ出していたから…
―昼近くなった時だった―
『原始天尊様!!』
「どうしたのじゃ?呂望?普賢?」
「…修行をお願いしたいのですが…」
普賢が言い辛そうに言う…
「南極仙翁はどうしたのじゃ?」
「南極仙翁と十一仙は何かお忙しい様です」
呂望のその言葉に一体何故と眉を寄せる。
「……」
原始天尊は暫し考えて…
「…では…もう昼じゃ…修行は昼食を終えてからにしようかのぅ」
…そう言った。
二人の修行を終え、教主としての仕事を終えた時だった―
「…原始天尊様!!!」
息せき切って呂望が駆け込んできた。
「どうしたのじゃ呂望!?」
ただならぬ呂望の様子に原始天尊は動揺する…
「ふ…普賢が…普賢が…」
「普賢がどうしたのじゃ!?呂望!」
「謁見の間で…天尊様!早く謁見の間に!」
「うむ…」
呂望の迫力に…原始天尊は謁見の間で普賢の身に何かが起こったのだと思った…
謁見の間は暗かった…いつもと少し様子が違うように思った…
駆け込むとそこには十一仙と南極仙翁に白鶴そして普賢がいた。
普賢は別にいつもと変わらなかった。
「呂望…これはどういう事じゃ…」
「原始天尊様…今日は何の日か御存知ですか?」
「いや…じゃがそれとこれとは関係あるまい…」
「原始天尊様…今日は敬老の日なんです…」
普賢がそう言うと謁見の間に明かりが灯った。
その明かりにより、違和感の正体を原始天尊は知る…
謁見の間には宴の支度が整っていた…
―終わり―