虚無の欠片 ―外伝4―
「…神託?」
リナさんの訝しげなその言葉にアメリアさんは言いました…
「…ええ…その神託はある日突然…ある一定以上の能力(ちから)を持つ総ての巫女に下されました…」
…アメリアさん…『…総ての巫女に神託が下される…』…それがどういう意味か…
…知る訳無いですよね…人間ですし…
…でも…リナさんのあの態度は…
…あれは…リナさん…貴方は…
…知っているんですか?
『あの事を』…
…だとしたら…貴方は一体…『何者』なんですか…
…リナさん…
「そうですね…じゃあ取り敢えず内容だけ…」
…あっ!アメリアさんが『神託』の内容を話す様ですね…
…どんな『内容』か気になりますし…
…ちゃんと聞いておかないと…
―悪夢の王の欠片 世界(そら)のいましめより解き放たれし存在(もの)
闇より暗き 夜より深き 金色の闇の王より混沌の海より分かたれしたゆたいし存在(もの)
闇と光とその狭間にして 黄昏より昏き力導きし 暁よりも眩き力持ちし者の力受けし
遙かなる混沌より導かれし力を掲げ 虚無の欠片を胸に抱きて 闇の欠片を内に得て
虚無の力を導きし時 覚醒(めざめ)の瞬間(とき)は訪れん―
…ア…アメリアさん…
…マジですか…それ…
…その様子じゃ…
…その『神託』の内容は…
…イエ…僕だって完全には…と言うか…考えるのも苦しい状態ですが…
…ああ…なんか…リナさんは解ってる…みたいですね…
…流石というか…
…でも…とにかくここはひとまず…
…獣王様に急ぎご報告をっ!!
―獣神官の中間報告1―
「獣王様!大変ですっ!!」
酷く慌てた様子でゼロスが現れる…
…珍しいこともあるものだ…
…ウン?それに何かかなりダメージも受けている様だな…
…それに中間報告にはまだ早いし…
「…どうしたゼロス?そんなに慌てて、中間報告には早いし…ダメージも受けている…まさか…リナ=インバースに見つかって滅ぼされかけたのか?」
キセルを指で弄びながら…ニヤリと口角を僅かに上げてそう問う。
「…イ…イエ…まあリナさんには…割と最初からバレていたみたいで…多少物理攻撃を受けましたが…滅ぼされるには到りませんでした…怒ってはおられた様ですが…まあ…割とあっさりしておられますし…感情的な様で冷静な方ですからね…リナさんは…」
「…ではどうしたのだ?」
肩を竦めて言うゼロスの様子に、眉を寄せ更に問い掛ける…
「…いえ…実はそれが…大変な事が…」
ゼロスは冷や汗を垂らしながら…重々しく…声を顰めて語り始める…
―ゼロスは…一部始終を話す…『その夜に起こった事』を…
…多大なダメージを受ける事覚悟の上で…
…主にもダメージが及ぶであろう事も承知の上で…
…それでも話さねばならないと…思うが故に…
…其程に『コト』が重要であると解るが故に…
―続く―
|
|