―…後少しで昼休み…の筈なのだが…

 「…あー…そう言うわけだからー…」
 …云々…

 …イルカの授業…と言うか…既に語りの域に入ってしまっている、その講義は…
 …当分…終わりそうにない…

 …普段はきちんと授業内容を組み立てて…滅多に時間オーバーなどしないイルカだが…
 …やはり…イルカも人間…偶にあるのだ…妙に暴走して…延々語り出す時が…

 …話の内容は…はっきり言って面白い…時間の問題さえなければ終わりまで聞いてみたいかも?と生徒達が思う程度には…

 …だが…昼休み直前のこの時限は別だ…
 …最後まで聞いてなんていられない…
 
 …時間を忘れているイルカを正気に戻すには、ただ一つ…

 …だから…彼等は行動を開始するべく…互いに目配せをし…


 
問題児は結託する―1―

 
 「…やばいってばよ…キバ…たのむってば…」
 …ナルトが前の席のキバの肩をつつき、小声で囁くと…
 「…ああ…わかってる………赤丸…行け…」
 …キバは小さく頷き、やはり小声で返し、そして赤丸に何事か囁き…
 「ワン」
 …赤丸もキバにのみわかる様に小さく吠えて、そして何処かに…
 「…ねぇーシカマルー…」
 …ナルトの隣の席では…チョウジが…早弁しながらも…やはり小声で前方の席のシカマルに…
 「…チッ…しょーがねぇーなー…わかったよ…ああ…めんどくせぇー…」
 …そうしてシカマルはめんどくせぇと言って頭を掻きながらも、幼馴染みのその要求に応え…ソッと印を組み…

 …そうして…チャイムが鳴る直前に…

 …まずナルトが動き…
 …恒例の一騒ぎ…
 …チャイムが鳴って…

 …その音にナルトが…
 「あー!チャイムが鳴ったってばー!授業終わりー!助かったってばー!!」
 …そう叫び…窓から飛び出して行く!
 
 「あっ!待てよ!ナルト!テメー!ずるいぞ!」
 …そしてその後を追う様にキバが…
 「へっへーん!早い者勝ちだってばよ!」
 そう言って振り向くナルト…

 「まっ!待て!おまえら!まだじゅ…ウワー!」
 窓から出て行くナルトとキバを止めようとしたイルカは、しかし突然背後から飛び付いて来た『何か』の為に一瞬バランスを崩し、転びそうになり…
 「…なっ…なにが……って赤丸っ!!」
 …体制を立て直した時見たモノは…去っていく…一匹の子犬…赤丸…
 
 …そしてイルカが転んでいる間に…
 「あー!二人ともズルイヨー!ボクも行くー!」
 …いつの間にかそう言って窓から飛び出していたチョウジ…
 「…あっ!おいチョウジ…」
 …チョウジの事に気付いたイルカは慌てて起き上がり、追い駆け様として…
 「!」
 …イルカの体がピタリと止まり…何故かイルカはその場に…不自然な姿勢で止まる…
 …まるで…『何か』に座っている様な姿勢で…
 「……ま…まさか……シカマル!おい!おまえだろう!…」
 …そう言って怒鳴る!何故かそのままで…

 「…ふー…影真似の術成功………すいませんねーイルカセンセー…メンドクセェけどオレも付き合いがあるんで…それじゃ…」
 …そう言って…いつの間にか教室の後ろの方…イルカからは死角になっているだろう位置で、窓に腰掛けていたシカマルは…『そのまま』の体勢のまま…手で軽く窓の縁を突き…中空に放り出される様な形で…外へ…
 …ちなみに…イルカはシカマルが『外に出た』と同時に、やはり同じ体勢で教室の床に転げ…
 「……あ…あいつらー…待てーこのやろう!!」
 …暫し床の上で震えていたかと思うと…そう言って…後を追って教室を出て行った…

 …かと思うと…
 「…あーおまえら悪いがこれで授業は終わりだ…続きはまた今度な…」
 …すぐに戻って来てそう言った…

                                  ―続き―