―「これは邪悪なモノだけを斬る退魔の剣だ」「ノアやアクマにしか効かない」―
 
 …『人間』の『僕』は傷つかない…
 …そう…その筈だった…

 …なのに…

 ―「ズグッ」―
 微かに感じた違和感…『それ』は直後にもっと明確な…
 ―
ズグ
 『痛み』となって感じた…
 
 …その『痛み』はこれまで感じた事もない奇妙な『それ』で…
 
 ―(え…?)― 

 そして解ってしまった…その『痛み』をもたらしている『モノ』がなんなのか…

 ―「ドグ」―

 ―「神ノ(クラウン)」―

 聴こえる鼓動…

 ―「ドグン」―

 信じられないくらいに大きな『ソレ』…

 ―「道化(クラウン)…」―

 信じたくない『現実』…

 ―ゴプ…と口から零れた『血』…

 ドンドン酷くなる『痛み』…
 否…そんな生易しいモノじゃない…

 …これは…もう…痛いなんてもんじゃ…

 …なんでだ…なんでだ…神ノ道化(クラウン・クラウン)…
 …何故…僕を…僕をっ…

 …僕は『人間』なのにっ…!…『エクソシスト』なのにっ…!…

 …なのに…

 ―「じゃあくなものだけを……?」―
 ―アクマが言う…
 ―「なにをいってるのでしょう」―
 ―不思議そうに…
 ―「じゃあ おまえは 」―
 ―嘲笑うように…
 
 …!…やめろっ…!…よせっ…!…言うなっ…!… 

 ―「なぜ くるしんでいる」―

 …言うなーっ!!…

 ―アクマの言った事は…それこそ僕の方こそ誰より聞きたかったこと…
 同時に…
 …多分…僕は…知っている…その『理由』を…

 ―「お前は「14番目」の記憶(メモリー)≠移植された人間」「「14番目」が現世に復活するための宿主(しゅくしゅ)だ」―

 …師匠が言った言葉…
 …『僕』が『14番目』の『宿主』だという『事実』…

 …でも…

 …僕は…『僕自身』は…『人間』だ…
 …まだ僕はノアじゃない…エクソシストだ…人間だ…
 …そう思っていた…

 …ずっと…

 …だからこそ…躊躇うことなく…自らを諸共に刺した…

 ―『神(イノセンス)』の『敵』である『邪悪』な『存在』だけを斬る『剣』…

 …『神(イノセンス)の使徒』である『エクソシスト』である『僕』は斬られないとそう思っていた…

 …なのにっ…

 …この『現実』はなんだ…?…なんで『僕』はこんな『痛み』を感じてるんだ…?…
 …なんで僕が…?…

 …『僕』は『人間』なのに…『人間』の筈なのに…

 …ねぇ…ししょ…ぼ…くは…にん…げ…ん…ですよ…ね…?…

 ―即座に襲ってきた…先程までとは比べモノにならない…その『痛み』が…

 …僕の意識を『闇』へと沈めた…

                                  ―続く?―