―…目の前の『人物』は…紛れもなく『ノア様』だった…

 …まちがいなく…ついさっきまで…

 …なのに…なぜ…なぜ…

 ―…一瞬で消え失せた『ノア』の『気配』…

 …まるで『べつじん』にかわってしまわれたような…

 ―…思った時にはもう手遅れで…

 ―…すっかり忘れていた…『自分』を刺し貫いていた…『退魔の剣(イノセンス)』の『存在』…

 ―…忘れ去っていた…『そのイノセンス』を振るっていた『エクソシスト』が…『誰』だったのかという『事実』…

 『…な…ぜ…の…あ…さ…ま…』
 その問いかけは『声』にはならず…

 ―しかし『それ』を耳にしてか『彼の存在(モノ)』は嗤う…
 
 ―一瞬だけ…確かに嗤い…その口唇(くち)が動く…
 『く』『ち』『ふ』『う』『じ』…
 そう音も無く…
 『オ』『ヤ』『ス』『ミ』…
 冷たい眼差しで微笑って云った…

 ―レベル4が『それ』を見たのは斬られた直後…『意識』が消えるその直前…
 ―失われゆく『意識』の…その最期の瞬間…

 ―『それ』を見て…もう一度…消えゆく『意識』で『なぜ』と呟き…
 ―そして黒き涙が零れ落ちた…

                                       ―続く?―