―「少年 オレらはお前を迎えに来たんだぜ?」―
 漸く我輩の背中から降りて…そしてティキぽんがそう言った。
 ティキぽんの声が、僅かに楽しげに弾んでいる。

 …そして考えてみれば…先程のシェリルの声音も…常より機嫌の良さそうなモノだった…
 
 …恐らく皆嬉しいのだ…『家族』が増える事が…

 …否…失った『家族』…もう二度と『会えない』と思っていた『兄弟』に再び『会えた』事が…
 そう考えて頬笑ましく思い、眼鏡の下の眦と口角が僅かに弛む。

 ―「はぁ?」―
 しかしティキぽんの『言葉』に『アレン・ウォーカー』は意外そうな声を出す。
 ―「迎えって 僕は あんたたちの敵…」―
 心底意外そうな『アレン・ウォーカー』のその『言葉』が腹立たしくて…『聞きたくない』と思った。

 ―だから…
 「敵…」そう言った『アレン・ウォーカー』の頭を後から『ずしっ』と抑え付け、そのまま『ドカ』と力任せに床に押し付ける。

 そして左手で『アレン・ウォーカー』の首を押さえ、右手で『剣』の状態になったままのために『左腕』の無い『アレン・ウォーカー』の左肩を押さえ付け、その身体に跨り全体の動きを封じて床に抑え付けると…

 ―「うぎ…っ」―
 苦しそうに表情を歪めつつも、なんとか抵抗しようとする『アレン・ウォーカー』に…

 ―「アレン・ウォーカー… お前は二度と教団へは帰しまセ〜ンv」―
 我輩はそう告げる。

 …『教団』になぞもう『帰さない』と…

 ―「お前は「14番目」が残した奏者の資格ではナイ!「14番目」本人だったのでスネv」― 
 そしてそう告げた。
 …『もうお前の正体を知っている』のだと『或いは本人もまだ明確な自覚を持っていないのかも知れない』と…その『疑い』が本人に会ったことで、より濃厚になったと感じて、だからハッキリと教えてやろう思いそう言った。
 …するとその瞬間確かに『アレン・ウォーカー』は瞠目し我輩をジッと見た。

 …そして『それにより』我輩は『確信』を持った。

 …『アレン・ウォーカー』が…『自覚』は無くとも…『自分』が『14番目』である事を知っているのだという事を…

                                       ―続く?―