『14番目』と言う『存在』を得て…千年公は変わった。
普段は陽気で明るかったけれど…どこか陰があった。
…『それ』は…『7千年』と言う時間(トキ)を…たった独りで生きてきた…千年公の『孤独』…
…ボクら『12使徒』が…幾ら『転生』できるって言っても、千年公とは違う…千年公の『転生』とは…全然…
…『肉体』が変わるだけで…『記憶』も『自我』も『そのまま』の『千年伯爵』と違って…ボクらは…『転生』したら…殆ど『別人』と言ってもいい…(…まあ…ボクとワイズリーは『能力』の『関係』で『記憶』はあると云える状態なんだけど…)
…けれど…やっぱり千年公にとっては……
…何度も何度も…死んでは生まれ直すボクらを偲んで…千年公は…かっての『ボクら』の肖像を『方舟』に飾ってる。
その肖像を哀しげに見つめては溜め息を吐いていたことを…ボクは知ってる。
その千年公が『14番目』の『誕生』で変わった。
…懐かしそうに肖像を見上げて…『彼ら』の想い出を話すようになった…
…『14番目』を見つめる時…とても嬉しそうに見ていた…
…『14番目』が傍にいると…とても幸せそうに微笑んでいた…
―その『理由』は…
…『彼』が…『千年公』と『同じ』だったから…
『彼』の『覚醒』がボクもワイズリーも嬉しかった。
…だって…これからは『千年公』は『独り』じゃない…そう思ったから…
…『7千年間』…たった独りだった『千年公』の為に…『神様』がもう一人『千年伯爵』を『覚醒』させたんだって思ったから…
…だけど…『14番目』は…『彼』は…『千年公』を殺そうとした。
…だから…『千年公』は…『彼』を殺した。
…『14番目』は『説得』に耳を貸さなかったから…
…それどころか…『家族(ノア)』を次々殺していったから…
―『14番目』の『凶行』を止める為に…『千年公』は『14番目』を殺した。
…けれど本当は殺したくなんてなかったってボクは知ってる…
…『14番目』を殺してから…『千年公』はまた変わった…それも前とは違って悪い方に…
…見え隠れしてた陰が前より深くなったし…なによりまた…昔の事を話さなくなった…
…そして…『方舟』で誰もいない時…千年公は独り涙を流すようになった…
…千年公…ボク知ってるよ…『あの舟』には『14番目』との『想い出』があるから…ホントは壊したくなかったって…
…だけど…『14番目』が『あの舟』の『奏者ノ資格』を『人間』に渡してしまったから…『千年公』の手元に残ったたった一つの『想い出』が『人間』に奪われそうだったから…だから壊すことにしたんだって…
…『14番目』と『関係』のあった『人間』をティッキーに殺させてまわったのは…『彼ら』の中に『奏者』がいるかも知れないからって言うだけじゃなくて…『彼ら』が妬ましくて堪らなかったから…
…『14番目』自身から…『何か』を『遺された彼ら』が…
…『千年公』から…『14番目』の最後の『想い出』まで奪おうとする『ヤツら』が羨ましくて妬ましくて憎らしかったから…
…だから千年公は解らなかった…『アレン』が『奏者ノ資格』だって解った時…昔『アレン』を何故殺さなかったのか…どうして…切なさだけが募って…憎しみが沸かないのか…
…だけど『答え』は意外な形で解った。
…『アレン・ウォーカー』とは『14番目』が残した『奏者ノ資格』ではなく、『14番目』本人だったのだと…
…その『真実』をもたらしたのは…
―「オハヨウ…」―
AKUMA越しに為されたと言う…その『呼び掛け』…
…アレン…キミは嫌かも知れない…けれど…
―《我輩は》《14番目のそばにイタイ…》―
…ボクらと一緒に来て貰うよ…
…千年公の為にも…
―続く?―