―仙界大戦が…終わった…
―それは…多くの犠牲と引き替えの勝利だった…
「少しの間一人にして欲しい」
太公望はそう言って一人になった…
いつも共にいた…四不象さえ遠ざけ…
一人膝を抱え…考える…
―捧げられし『モノ』―
…わしは…
…力が欲しい…強くなりたい…
そう思って崑崙に上がった…
『平和な人間界を…』
その為なら…なんでもしようと心に決めていた…
どんな卑怯な手も使おう。
第二の故郷となったこの崑崙も利用しよう。
自分自身の命も含め…総て…
たとえその結果…『誰』が封神されようと…『誰』を封神することになろうと…
…わしは……
…そう…ずっと…思っていた…
…覚悟はできていたつもりだった…
…だが…
―ツゥー…
太公望の頬を涙が伝う…
…それは…所詮『つもり』でしか…なかったようだ…
…『あの時』…そのことを思い知った…
「…普賢…わしに痺れ薬を盛ったお主の姿が…遠くなるのを見た…『あの時』に…」
…そして『あの時』気付いた『それ』が故に…
―クッ…
口の端が微かに歪む…自嘲に…
「…結局…わしは…出さなくても良い犠牲をも…出して…しまった…」
―…『誰が』言わずとも識っている…
…『誰』よりも死なせたくなかった『普賢(あやつ)』…
…その『普賢(あやつ)』を封神(ころ)したのは……
「…普賢…わしは…わしは…真実(ほんとう)は…少しも…覚悟など出来ていなかったのだな…」
…真実(ほんとう)は…まるで解っては…いなかったのだ…
…自分(わし)の『決意』が…どんな『意味』を持っていたのか…
…「…望ちゃん…もっと自分を大切にしてよ…」…
…「わしはいつでも自分を大切にしておるぞ、その証拠にホレッいまもこうして息抜きをしておる」…
…「…もう…望ちゃんったら…」…
…「…望ちゃんの嘘吐き…」(ボソッ)…
…「…?ん?なんか言ったかの?」…
…「…なんでもな〜い…」…
―ボソリと言った普賢の言葉…本当は聞こえていた…
…その『意味』も…解っていた…つもりだった…
…だが…真実(ほんとう)は…
「…解っては…いなかったのだな…普賢…」
…いまならあの日おぬしが真実(ほんとう)は『何を』言いたかったのか解る…
…だが…
…済まぬな…普賢…それでもわしは…わしは…
…止めるわけにはいかぬのだ…
―…決して…叶えられぬのだ…その『願い』だけは…
―了―
―後書き―
遅くなって申し訳ありません、RINです。
衣田様のリクにより書かせて頂きました。
リク内容は『太公望』をとのことでした。
…が久し振りに封神計画時代の太公望を書こうとすると…何故かどのエピソードも追悼紛いの暗くてシリアスな話に…
…何度書き直そうとしても…明るく楽しいほのぼのとした日常を描くことができませんでした…(…どうも現在スランプの所為でパラレル以外では書けなくなっているようです…)
そんなわけで、このような内容の話となってしまいましたが、折角書きましたし、それにかなり遅れているので、ご満足頂けるかどうかは解りませんが、取り敢えず一応『これ』を送らせて頂こうと思います。
ご不満なようなら遠慮なく仰って下さい、時間は掛かるかも知れませんが書き直させて頂きます。
―それではリクエストどうも有り難うございました―RIN―