…早く…早く…
 …千年公の所に早く…

 ―…気持ちが逸る…

 …早く行って聞こう…

 ―…期待と…不安で…

 …この『血』が一体…『誰』の『モノ』なのか…

 …どうか…『僕』の『考え』が当たっていればいい…
 …この『血』の『持ち主』が『僕』の『考える相手』であれば…


 
―…その『気持ち』に気付く『時』…―

         ―ロードのアレンへの『想い』―



 ―千年公から受け取った『血』の着いたハンカチ…
 …その『血』のデータを分析していた間も…僕はずっと気になっていた。

 ―…それは一体『誰』の『血』なのか?
 …微弱に…でも注意すれば確かに感じられる…『ノーブル』の『力』の『気配』…
 …千年公は…一体どこでこの『血』を?…確か千年公は方舟にティッキーとレロを迎えに行ってた筈…
 …そして方舟にはいまはアレン達エクソシストとあのムカツク人間しかいない筈…
 ―…そして『血』を拭おうとした時とその後の千年公の様子…
 …「…ロード…アレン・ウォーカーが我輩の剣を持っていましタv…」…
 ―…突然脈絡もなく始めたアレンの剣の話…
 ―…何故かアレンが千年公に見えた『あの時』のこと…
 ―…それを話した時の千年公の様子…
 …あの時は気を悪くしないでって言ったけど…でもどっちかというと千年公の機嫌はむしろ…
 …そうだ…そして千年公は言ったんだ『血』を分析にかけるように…
 ―…もしもこの『血』が『アレン』の『モノ』なら?
 ―…そう言えば『アレン』は『あの男』が拾って育てた『孤児』だって話だった…
 ―…なんでも生まれつきイノセンスに寄生されてた所為で捨てられたって…
 ―…そして…そもそも14番が裏切った『理由』は?
 …あの後…実はあいつは覚醒前にクロスと関わりがあったってことが判った…だからずっとその所為だと思っていたけれど…
 ―…もしも生まれた子供にイノセンスが寄生していたら?
 …もしそんなことが起こり得たのなら…それに気付いた『あの二人』はどう思う?
 …千年公とイノセンス…両方に対する恐怖…
 ―…寄生型はイノセンスを破壊されればその影響は絶大…
 …そして…
 ―…何より『咎落ち』の可能性…
 …この二つを恐れたのだとしたら…
 …辻褄は合う…
 …それに…『血』から感じる『気配』さえ微弱なのは…
 …イノセンスが寄生しているからだと考えれば…
 …でも…本当にそんなことが起こりうるの?
 …『アレン』が『ノーブル』…
 …もしそうだとしたら…
 …僕は嬉しい…アレンが…アレンのことが好きだから…
 …でも…千年公は…たぶん大丈夫だと思うけど…
 …だって凄く嬉しそうだったし…
 …あっ!…
 …ヤだ…どうしよう…もしもアレンがって思っちゃったら…なんかアレン以外は嫌な気がする…
 …うそ…僕…こんなにアレンが…?…
 …いったい…いつから…?…
 …真っ直ぐで…凄く純粋…綺麗で…強くて…優しくて…
 …人間をそんな風に思ったのは初めてだった…
 …見てるとおもしろくって…厭きなくて…アレンといると楽しかった…
 …ただの興味だと思ってた…ちょっと他の人間と違うから…
 …どうしよう…ティッキーが『あの時』言ったこと…
 ―「ノアとエクソシストの恋」―
 …ふざけて『愛してる』って言ったけど…
 …ホントは…そんなんじゃない…そう思ってた…ただ…気に入ってるだけだって…
 …おもしろいから…見てると厭きないから…好きなんだって…
 …だけど…
 ―…『アレン』が…『ノーブル』かも知れない?…
 …どうしよう…凄く嬉しい…
 …どうしよう…『アレン』がいい…
 …『僕』は…『アレン』がいい…
 …『アレン』じゃないと…嫌だ…

 …『僕』はっ…『アレン』がっ…『好き』だっ…

 …『好き』になってっ…いたんだ…
                                            ―終わり―