―『左目』が再生しているとブックマンと名乗った老人が言った…

 ―「「呪い」――だそうだな」―
 ―「昔 アクマにした父から受けた傷です」―
 老人の言葉に…僕は『左目』を押さえながらそう答える…
 …そう…この傷は僕の罪の証…

 ―「ブックマンと呼んでくれ」―
 そう言って老人…否ブックマンが手を差し出してくる…
 伸ばされた『その手』は…『左手』…
 …あっ…握手…この僕の…醜い左手と…
 ブックマンもエクソシストだと言った…けれど…
 なんの衒いも無く差し伸べられた『その手』が…嬉しい…
 そう思った…

 
 
―『種』と『ノア』―
              ―1―
 


 ―ブックマンとラビが出ていって…一人になった部屋で…僕は考える…
 いや…本当は…目が覚めてから…ずっと…気に掛かっていた…
 ただ…ずっと表面上はポーカーフェイスをしていた…
 それは意識してというより…もう条件反射のようなものだった…

 ―『ノアの一族』…
 それは一体…なんなんだろう…?…
 …師匠が言ってた『奴ら』とは…もしかして…『ノア』のことだったのか…?…
 何故か…奇妙に気に掛かる…『その存在』…
 でも…いったい…どうして…?…

 ―心が『不安』でいっぱいになる…

 …どうしたら…

 …「『光』と『闇』を『意識』しろ」…

 …解っています師匠…でも…
 …いまは…

 …いまは… 

 …こわいんです…

 …師匠…どうすればいいんですか…?…

                                            ―続く―