…目の前には…二人組のノア…

 …師匠を追ってる…ノア…

 …どうやらあの人は元気らしい… 

 …にしても…気の毒に…


 
岐路(わかれ)への道程(みち)―2― 


 …なんでだろう…やりづらい…

 …やっぱり…相手が『人間』だからだろうか…

 …『覚悟』をした…つもりだった…でも…つもりでしか…なかったんだろうか…

 …ノアを…前にすると…どうしても…『なにか』…複雑だ…

 …師匠…こんな僕を見たら貴男はなんて言うでしょう…

 …ああ…分からないや…

 …でも…いつもみたいに言うんでしょうね『馬鹿弟子』って…

 …だって…相変わらずみたいですし…

 …師匠に借金をツケられたと言う目の前の二人…泣いてますよ…

 …師匠くらいですよね?…ホント…

 …にしても…師匠を悪魔みたいなやつだなんて…

 …まったく…笑っちゃいます…

 …師匠は『みたい』じゃない…正真正銘『悪魔』だ…

 …あの人に関わったら、借金をツケられるくらい…まだまだ序の口…カワイイモノ…

 …しかもたかが100ギニーでしょ?…

 …なんですそれ?僕がいくらかけられてると?…

 …フ…フフフ…フフフフフ…

 …ああ…なんなんでしょうね…?…この二人…人が黙ってれば…師匠の借金?…100ギニー?…弟子が払え?…そう言えば…さっきも言ってましたよね?『師匠のツケ』…こういうことだったんですか?『人質』?なんですそれ?…ああもう…なんて『甘い』…この二人じゃ師匠の暇潰しの玩具で終わりですね…師匠を狙ってるノアが…コレ…
 …僕…来る必要無かったんじゃ…?…だってあの人殺したって死なないって分かり切ってますし…それに…
 …それに…この国には来たくなかった…
 …なのに…師匠を狙ってるノア…つまりこいつらの所為で…
 …来たくもないのに…こんな…しかも…
 …僕は…いま結構大変なんです…イロイロ気に掛かることがあって…

 …ああ…戦いづらいとか…複雑だとか…もうなんだかどうでもよくなってきました!
 なんだかこの二人みてるとイライラする、ムカムカする。

 …前言撤回!「気の毒に」なんて思うんじゃなかった!

 『覚悟』が足りないんですよ!『相手』は『常識』の通じない『悪魔』なんですから!
 その程度全然『被害』の内に入らないじゃないですか!
 『指先』で『チョット』つつかれたのと大差ないじゃないですかっ!!

 …ク…フフ…
 …100ギニー…100ギニー…たかが…たかが…たかが100ギニー…
 …そんな…その程度のはした金で…僕に…ツケを払えと?…
 …なんでです?…そんな筋合いありませんよ?…ええ!まったく!

 …ああ…イラツク…ムカツク…どうしよう?…どうしてくれましょうか…?…フフフ…

                                            ―続く―