…目の前のものを否定しよう…

 …『声』の言う通りに…

 …ああ!後少しっ!!

 …そう思った時だった…


 
―…夜…流るるは…愛と哀…―
              ―3―
   
 

 ―ドクン…

 …え?…

 ―ゴッ…

 …血?…

 ―ブブ…

 ―ドッ…

 ―ドクッドクッドクッ…

 …なにが…起こった…?…

 …そうか…リバウンド…

 …成長した武器に僕の体が…

 …後少しだったのに…後少しで…あいつを…

 ―キーン…

 …あいつを……?…あれ?…僕は…『僕』は…いま…なにを…

 …何を考えた…?…

 …何をしようとしていた…?…

 …そうだ…確か…『声』が…

 …あの『声』が…

 …そんな…なんで?…

 …だって…そんな…

 …「…お前はエクソシストだ、伯爵のアクマじゃない」…

 …あっ…師匠…

 …「…『声』は伯爵がお前に植え付けた『モノ』の『残響』が、お前自身の『闇』と呼応しているだけだ、お前がお前の『闇』を振り切れば自然と聞こえなくなる」…

 …そうだ…僕は…師匠に…言われていた… 

 …「…いいか…何度も言うが『奴ら』と戦うにあたって『負の感情』を持つな、どうしても『憎しみ』を止められない時は戦うな、いいな」…

 …もう何度も…言われていたのに…

 …なのに…

 …もし…リバウンドが起きなかったら…?…

 …考えるとゾッとする…

 …あの時の『僕』には…『声』が総て『正しい』様に思えた…あの『伯爵』の『声』が…

 …なんて…ことだ…

 …僕は…またっ…

 …くっ…

 …いまは…取り敢えず…落ち着いてる…

 …任務中なんだ…

 …いくら戦うなって言われていても…神田だけに任せるわけにもいかない…

 …神田は…傷だらけなんだから…

 …それに…

 …このアクマを救済しないと…

 …憎むな…否定するな…

 …『僕』はアクマを愛して…アクマのために生きる…そう決めたんだ…

 …アクマは哀れな存在なんだ…

 …そう…

 …救済する!!

 ―「…『光』と『闇』を『意識』しろ…」―

 …このアクマを否定する『心』が『僕』の『闇』…

 …そして…『光』は…

 …アクマを愛し哀れみ…救済する『心』…

 …それが僕の『光』…

 …救済するよ…哀れなアクマ…

                                            ―終わり―

 ―あとがき―
 皆様どうもこんにちは、いつも読んで下さって有り難うございます、RINです。
 …『『神』に愛されし存在(もの)』シリーズでは、異様に長く続いている『マテール編』ですが、この『ノーブル・ノア』シリーズではこれで終わりです。
 …まあ…次の『新たな『光』』の冒頭部にはちょっとだけ絡めますけど…
 …そんなわけで『新たな『光』』はこの第3話と同時UP致します。
 
                                  ―それではまたの機会に―RIN―