…ずっと大好きだよ!…
 …いつか絶対一緒に住もうね!…
 …うん!約束!…
 …じゃあ!指切りしよう!…


 …ずっと…

 …約束だよ…望ちゃん…

 ジリリリリリッ…カチッ…
 けたたましい音にうっすらと目を開け、目覚ましを止める…
 「…夢か…随分懐かしい夢を見たな…」
 普賢は起きあがると、机の上に置かれた写真立てを手に取る、写真には楽しそうに笑っている、五・六歳の男の子が二人、写っていた…
 「…お早う…望ちゃん…いつになったら会えるのかなぁー…僕たち…」
 普賢は、写真の…向かって右側に写っている、黒髪に碧い瞳の少年を見つめて、そう言った…
 普賢は写真立てを机に戻しながら続ける…
 「望ちゃん…今日はね、あの日の夢を見たんだ…望ちゃんが引っ越しって行っちゃった日の…」
 ポタッポタ…
 涙が零れるのが解る…でもそんな事は構わない…
 「早く会いたいよ…望ちゃん…そうじゃないと…寂しくて死んじゃうよ…」
 暫く泣いた後、普賢は涙を拭き、顔を洗い学校に行く支度を始めた…

 …うん!約束だ!普賢!…

 「…さん…望さん…起きて下さい!太公望さん!!」
 目を開けると、邑姜が怒っておった…何故だか知らんが…
 「…何だ…邑姜か…わしはまだ昨日の時差呆けが残っておって眠いのだ…頼む…もう少し寝かしてくれ…」
 「何を行ってるんですか!時差呆けなのは皆一緒です!早く起きて下さい、昨日学校まで一緒に来ると言ったのは太公望さんなんですよ!」
 「うう…分かったわい…それで、いま何時だ?」
 「8時です」
 「何!ではもう時間が無いでは無いか!」
 「だから早くして下さいと言ってるんです!早く支度して下さいね、階下(した)で待ってますから!」
 そう言うと邑姜は部屋を出ていった。
 「それにしても…随分とまぁ懐かしい夢を見たのぅ…やはり日本に帰って来たのが原因かのぅ…」
 嘆息し、寝台に置いた写真立てを一瞥し続けた…
 「…あれから10年…おぬしはどうしておるのか…いつか会えるかのぅ…普賢…」
 そうして、支度が整うと部屋を出て、邑姜の待つ階下へと向かった…

 「お早う、普賢、聞いたか?」
 「お早う、何を?」
 教室に着くなり、普賢は級友に問い掛けられ、少し困った…何の話しか全く分からなかったからだ…
 「えっ!お前知らないの?今日このクラスに転校生が来るって話し!」
 「転校生?」
 「日直が担任から聞いたんだってよ!」
 「それだけじゃないぜ!見た奴もいるって!」
 「結構かわいい感じの男の子と女の子!私、校長室の場所聞かれちゃった!」
 「えー!二人いるのーどっちかなぁー」
 口々に言う級友達に普賢は呆気に取られていた…

 チャイムが鳴って担任が入ってきた…
 「えー今日から二学期が始まるわけだが、もうみんな聞いてると思うが転校生を紹介する!入りなさい!」
 担任が教壇に立ってそう言うと、小柄な少し幼さの残る少女が教室に入って来た。
 あれ…何だろう…見覚えがある様な…誰かに似てる様な…
 「えー彼女は………」
 担任が長々と何かを言っている、でも僕は殆どそれを聞いていなかった…
 「…それで席は普賢の隣が確か空いていたな…普賢!」
 「はい」
 返事をして手を挙げると、彼女は静かに隣の席に着いた…

 今日は始業式だから学校は午前中で終わる、僕は部活もやってないから早く帰れる、いや、早く帰ってバイトに行かないと…そう思った時だった…
 「済みませんが普賢さん、お時間はありますか?」
 転校生に呼び止められた…時計を見て…少しならと思いそう返事をした…
 
 「それで何の用?」
 「普賢さん…もし間違っていたら済みません…呂望さんという名前にお心当たりはありませんか?」
 「えっ……」
 呂望…望ちゃん…その名を聞いて僕は、ようやく彼女が誰に似ているのかに気が付いた…
 「…まさか…それは望ちゃんの事なの?君は…一体…」
 何故そう問おうとした時だった…
 「おーい邑姜!迎えに来てやったぞ!」
 そう言って駆けて来るその人…彼からは僕は陰になって見えないんだろうけれど…
 僕には判った!彼が誰なのか!
 …ぼ…望ちゃん…
 …言葉にならない…
 「済みません、太公望さん…でもどうしたんですか大学の方はまだ始まっていない筈ですよね」
 …え…太公望?…大学?…望ちゃんじゃ無いの…
 「老子が…迎えに行けと五月蠅いのだ…おぬしはまだこの国にはなれておらぬからと…」
 ハアハアと俯いて、息を切らしながら、彼はそう言った…
 …僕が望ちゃんを見間違えるなんてそんな…
 「そうですか…それより太公望さん、お噂の普賢さんはこの方ではありませんか?」
 …えっ…
 落ち込んで俯いていた僕は、彼女のその言葉に顔を上げる…
 「何!普賢だと!」
 そこにはやっぱり望ちゃんの顔…
 「ぼ…望ちゃん?」
 恐る恐る聞いてみる…
 「普賢!普賢なのか!わしだ呂望だ!元気そうだのう普賢!この学校に通っておったのか!」
 「やっぱり…望ちゃんなの…」
 涙が溢れる…駄目だ…止まらないや…
 「何を泣く普賢!わし以外にわしはおらぬわ!」
 「でも…太公望とか…大学とか…さっき…」
 「ああ!聞いておったのか!太公望というのは単なるあだ名だ!それとわしは外国でスキップして、この崑崙学園の大学部に通っておるのだ!」
 「え…スキップ…そうだったんだ…でも何でスキップなんかしたの?」
 どうせなら一緒の方が良かったのに…そう聞くと…望ちゃんは頭を掻いてそっぽを向いてしまった…
 「太公望さんいつも言ってました、日本に帰ったら、大学に行きながら、沢山仕事をして、いつか普賢さんに会ったら、約束を果たすんだと!そう言ってましたよ」
 そんな望ちゃんの様子に、転校生の邑姜さん(そう言えばまだ彼女との関係を聞いてなかったなあー)はクスクスと笑いながらそう言った。
 「ゆ!邑姜!」
 邑姜さんの言葉に望ちゃんが真っ赤になる…
 「えっ…それって…あの約束…望ちゃん…憶えててくれたんだ…」
 どうしよう涙がますます止まらなくなっちゃった…
 「うーその…まだ準備は全然まだなのだが…ってこら!泣くなっ!落ち着け…」
 しどろもどろになって、こんなに早く会えるとは正直思っておらなんだしのぅ、と望ちゃんが言う…
 「その…わしと…一緒に暮らして欲しい…その出来るだけ早く準備は調えるから!」
 その…駄目かのぅ、と恐る恐るといった感じで望ちゃんが聞いてきた…
 僕は凄く嬉しくて、涙も止まっちゃった…
 「そんなの…答えなんか決まってるでしょ!僕たち約束したものねv」
 「ほ!ほんとか!」
 「うんvこれから宜しくねv」
 そう言ってにっこりと笑うと望ちゃんに抱きしめられた…
 そしてゆっくりと望ちゃんの顔がちかづいて来て…
 僕の口を、望ちゃんの唇が優しく塞いだ…
 「ずっとだぞ!おぬしはずっとわしのだぞ!ずっと一緒にいるのだぞ!」
 それでも良いのかと、優しいキスの後に突然言われて…
 僕は凄く嬉しくて…もう胸がいっぱいで…
 「うん!望ちゃん大好き!ずーっと一緒だよ!」
 望ちゃんの胸に抱きしめられて、僕はまた泣いた…
 「うむ!ずっと一緒だv」
 望ちゃんのその言葉に今度は僕から口付けをした…

 …すっと…一緒v…愛してるv…

 ―あとがき―
 KURENAI様よりのリクエストにより書かせて頂きました。
 リク内容は、パラレルの太公望・普賢(ラブラブ甘々)でした…
 ご希望に添えるものか、またご満足頂けるものか少々不安ですが、ひとまずこれをUPさせて頂きます、宜しければお納め下さいm(_ _)m
  尚、ご不満な場合は、仰って頂ければ、時間は掛かると思いますが、書き直しを致します。
 舞台は現代日本で普賢が高校1年,太公望と邑姜は帰国子女で留学時代スキップしてます。だから邑姜ちゃんは本当は学年は違います…ちなみに二人はいとこです(当初は話しの中できちんと書く予定だったんですけど…)
 家族構成は原始天尊(じじい)と老子(養父)と申公豹(叔父)あとペットが二匹(笑)学校は私立で理事長は原始天尊…という感じで作品中にはまるで出てこない設定ばかりあります(苦笑)
 それでは、キリ番HIT&リクエストどうも有り難う御座いました。
 ―遅くなって申し訳ありませんでした<(_ _)> ―RINより―