evoke one's recollections 《one's home》
…幼くも賢き者よ 汝は強く優しき者…
…されどそれゆえ重き運命(さだめ)は汝に近く…
…避け難きものとなりて…
…其処にある…
―姜―5
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…小さな少女が…遊んでいる…
…「…任ジ…任ジ…」…
…その声に少女が振り向く…
…聞き覚えのある声…
…懐かしい声…
…嗚呼…コレは母様の声だ…
…あの少女…あれは…妾(わたし)…
…幼い…妾(わたし)…
…「あっ!母様!なぁに?母様?任ジにご用事?」…
…『任ジ』…
…懐かしい呼び名…
…女登(わたし)の小名(なまえ)…
…「……ええ…ええ…そうね…任ジ…話があるの…とても大切な…」…
…嗚呼そうだ…
…思い出した…確か…この時…
…そして…この後…
…妾(わたし)は…
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「………夢……嗚呼…でも…夢ではない……」
…その日見た夢…
…嗚呼…何故…忘れていたのだろう…
…嗚呼…何故…現在(いま)…思い出すのだろう…
…「…任ジ…あなたは…大人になったら…選ばなければいけない…解るわね…」…
…あの日の…
…あの…母の…縛り出すような…苦渋に満ちたあの言葉…
…「…苦難と苦渋を道連れに…それでも愛する存在と共にある幸福を望むか…
…それとも…」…
…『解るわね』…そう云われて…あの時確かに頷いた…
…でも…
…妾(わたし)は…真実(ほんとう)は…解ってはいなかったのだ…
…あの言葉の…真実(ほんとう)の意味を…
―続く―
―あとがき―
皆様RINです、お久し振りです。
申し訳ありません、本当に本当にお待たせしてしまいました…
…うぅ…
…まあ…兎に角…長いこと書きかけのままで止まっておりました『姜』の第5話ですが、漸く書き上がりました…
…そして再度申し訳ありません<(_ _)>
前回…第4話のあとがきで…『…次回は遂に例の兄妹(少年と少女)が彼らの家にやって来ます…』と予告していたにも拘わらず、その部分まで話が進みませんでした…
…もしかしたら次回も出てこないかも知れません…
…済みません<(_ _)>
―用語解説―
小名―中国での幼名のこと
注:任ジが女登の小名というのは、あくまで本作中でのものです。
…別名であるとはいいますが…実際の所は不明です。
―それではまたの機会に―RIN―