―カチ…カチ…カチ…
 やたら大きく何処からともなく聴こえるのは『時計』の音…

 …暗い暗い『闇』の中…沈み込んでいきそうなあやふやな『意識』の中…アレンは『時計』の音と…そして…

 《…ア…レ…ン…ア…レ…ン…》

 ……『自分』を呼ぶ…『誰か』の『コエ』を聴いた…


 
―『12時』の『鐘』がなる『トキ』―
                   ―2―
 


 ―カタンカタンカタン…
 汽車に揺られ白髪に顔に傷がある少年がうつらうつらと船を漕ぐ…
 「……アレンのヤツ寝ちゃったさー…つまんねーのー」
 そうぼやくのは白髪の少年ことアレンの対面に座る赤毛に眼帯の少年…
 「…ラビ…アレンくんを起こしちゃダメよ」
 アレンの隣に座る黒髪にツインテールの少女が赤毛の少年・ラビにそう言い…
 「……?…なんでさリナリー…どうせもうすぐ着くんだぜ、いいじゃん別に…」
 ツインテールの少女・リナリーにラビがそう問うと…
 「……だって…」
 そう言い掛けてリナリーはラビの方へと心持ち身を乗り出し…
 「…なんかね…アレンくん…最近体調悪いみたいなの…」
 声を潜めてそう言って…
 「…アレンくんは…私達に心配掛けたくないのか…隠してるつもりみたいだけど…でも…」
 リナリーはアレンを見遣る…
 「……でも…心なしか…いつもより顔色悪いし…時々フラフラしたり…頭に手をやったりしてるし…あんまり眠れないのか隈だって出来てるし…それに……」
 「…さっすがー…で?それにって…なんさ…?…」
 立て続けに言うリナリーにラビは感心し、そして続きを促す…
 「…これはジェリーが言ってたんだけど…最近心なしかアレンくんの食べる量が減ってるみたいだって…」
 「!なっ!それマジかっ!」
 リナリーの言葉にラビが目を見開き、凄い勢いで立ち上がる。
 「…本当よ…それにね…」
 「…まだあるんさ?」
 声を潜めて更に続けられるリナリーの言葉に、ラビはゴクリと生唾を呑み込んでそう問う…
 「…肉類が減って…あっさりしたものばっかり食べてるみたいだって…」
 そしてラビの問いにリナリーは頷いてそう言い…
 「…しかも…昨日から…みたらし団子を注文しないって…そう言ってたの…」
 「…なっ!…そいつは…本気で奇妙しいさ…」
 続けて言ったリナリーの言葉にラビは更に目を見開き…
 「……『それ』…立派な奇怪現象さ…」
 乾いた声でラビは呟いた。

                                       ―続く―

 ―あとがき―
 どうもお久し振りです秋桜様、RINです、お待たせしてしまい申し訳ありませんでした(…と言ってもまだ終わってはいない所かまだまだ序盤なのですが…)
 けれど漸く『12時』の『鐘』が鳴る『トキ』の第2話が取り敢えずですが書き上がりました。
 
 そして済みません…今回はローアレどころかリナアレな感じになってしまいました…(…でも最終的にはローアレになる予定です)

                             ―それではまたの機会に―RIN―