「ティムキャンピー。いくぞ」
 荷造りを終えたアレンがティムキャンピーにそう声を掛け、そして歩き出す。

 ―一歩二歩と…

 そのアレンが不意に立ち止まり…
 「…行ってきます」
 そうポソリと呟いて…そして出て行った…
 

 
―『アレン・ウォーカー』の『旅立ち』―
                      ―7―
  


 『聖母ノ柩(マリア)』を隣に従えてクロスはくつくつと笑う。

 「…アレンのヤツ…クッ…」

 …オレが居ると確信してやがったな…あいつ…

 「…ふてぶてしく育ちやがって…」
 そう言いながらも顔は嬉しそうに笑う。

 ―フウ…
 吸い込んだ煙草の煙を吐き出しクロスは考える…

 …まあ…そう育てたのはオレ達だが……

 「…そうでないと…伯爵には太刀打ちできん…」
 
 クロスはフッと視線を巡らせそして扉の方を見る…
 弟子の出て行った『扉』を… 

 …『あいつ』がせめて…普通の『エクソシスト』だったなら……

 そこまで考えてクロスは口元を歪める…自嘲するように…

 ―「ティエドールのことも笑えんな まったく…」―
 そう言った…
   
                                       ―終わり―