…『それ』がいずれ訪れるであろう事は覚悟は出来ていた…

 …でもできれば…

 …『僕』は『彼等』とあまり関わりたくはなかった…

 …それが…いったい『何故』なのか…

 …『僕』が…これでも一応『ノア』だからなのか…

 …それとも…他に『理由』があるのか…

 …それはわからない…

 …でも…

 …いつか…『この日』が訪れるであろうことは…

 …わかっていた… 
 

 
…ディスティニー…
         ―序―



 「…あー…これでイタリアでの『仕事』は終わり…かな?」
 そう言いながら白髪の少年がファイルをパラパラと捲る…
 「…伯爵が…当分イタリアを彷徨いていた所為で、なかなかここでの『仕事』が終わらなかったんですよね…まあこれのおかげで見付からずに済んだけど…でもイギリスで結局鉢合わせしちゃったんですけど…はあ…でもおかげで…イタリアでの『仕事』に安心してかかれましたし…あれは…まあ偶然ですし…」
 …やっぱり…開発してよかった…そう言いながら…額から左目にかけて…画かれている逆ペンタグラムの紋様に触れる…
 …このペンタグラムはアレンが、アクマを研究し、自身のノアの能力を応用して創りだした『特殊な染料』で画いた『魔術紋様』で…アレンのノアとしての気配を誤魔化し且つ左目に掛けられた魔法の力により、アクマの魂を見分け、その魂を現実に写し出し、そしてアクマの存在を遠距離からでもサーチ・スキャン出来ると言う『魔力』を込めたものだった…
 「…師匠といるときには…まあ…ともかく…1人だとやっぱりね……それに…『僕』だって解ると…アクマはすぐに伯爵の伝言だのなんだの言い出すし…いい加減鬱陶しいですからね」
 …そう嘆息混じりに呟き…

 「…それに…これを開発したことで、随分研究も進みましたし…」
 …惜しむらくは…これ…『僕』にしか使えないってことですよね〜…原材料にダークマターを使ってる関係上…どうしても『常人』には使えない…しかも現状では…完全『僕』専用…
 …開発者としては…もうちょっと…
 …せめて…師匠が使えたら…便利なんですけど…
 …そうすれば…もうあんな団服着なくても済むのに…
 
 …つらつらと考えて…はあと嘆息を吐く…

 「…まあ…考えても…これはどうにもならないし…埒が明かない…それより…」
 「アレン」
 …次は…と言いながらファイルを捲っていると…背後から声…
 「マナ!」
 振り向くと黒い小さなゴーレムの姿…
 …『方舟』に追加資料を取りに行ってくれていた…アレンの養父『マナ』の魂を封じたゴーレムが其処にいた… 

                                            ―続く―

 ―あとがき―
 どうも皆様、RINです。
 いよいよこの章から、このシリーズもWJ原作コミックの時間軸に沿って展開されるようになります。
 …イタリアと言うことで、マテール編に突入します。
 …ペンタグラムは…アレンくんにはもう必須だろうと…言うことで…でもマナをアクマにしてないので…ノアの能力と術師(科学者)としての才能の応用でと言うことにしました…
 …アレンくんの『ノアの能力』についてはその内本編中で書きます…
 …ペンタグラムの左目の力に関しては…進化した本誌のモノと同等かそれ以上ということになってます…
 …加えて染料は魔術の為の媒介で、額・左目上に塗ると勝手に魔法陣が展開され、魔力を発揮するように魔法が込められています…そのため…効力も消そうと思えば簡単に消せます…(…たぶん…そのシーンはマテール編で書きますがついでなので…)
 …所謂『化粧』などのような『紋様』『紋章』などの系統の『魔法・魔術』の形式と同様のつもりです…
 …いまでも…『呪い(まじない)』の類として、それをする人達はいます…

                                  ―それではまたの機会に―RIN―

 ―…何故か書いたつもりで抜けている部分があることを発見、加筆修正致しました。
                         ―2007年7月7日―RIN―