PIECE―0―
僕と琳はずっと孤独(ひとり)だった。
御爺様、御婆様、父上、母上、兄上、妹妹(メイメイ)そして一族のみんな……
大好きだった、大切だった、でも僕らはみんなとは違う……
普通の人間じゃない……
昔、王奕という魂魄を分裂させることのできる道士が仙人界にいた。
師匠の原始天尊様はその王奕の魂魄を二つに分けて一つを王奕として、金鰲島に引き渡した。
そしてもう一つを、数百年後さらに三つに分けた。
一つは王奕の昔の体に……
残り二つは人間界の戦争で死んだ双子の赤子に……
それが僕と琳だった。
僕らはみんなを騙してる、王奕だった頃には感じなかった事、でも本当はこの感情も嘘、王奕(ぼく)には感情はない。
王奕(ぼく)は目的のために手段を選ばない。
そして、僕、呂望はいまみんなを見殺しにした。
生き残ったのは僕と琳だけ、でも今は僕一人。
琳はあの惨事の前に仙界に行っている筈だ。(もっとも、呂望は知らない事になっているけれど)
そしてその僕を原始天尊様は迎えに来た。
―つづく―

