『草原の少年0』―1―
「…にいさまー…ぼうにいさまー…」
羊の放牧から帰ってきたばかりの少年のもとへ、ハアハアと息を切らせて駆けてきた少女はその勢いのままに、少女の為にかがんだ少年の胸へと飛び込む。
「出迎え有り難う妹々、どうかしたの?」
少女にぼうと呼ばれた少年は、少女を抱き上げそう問うた。
「かあさまが…にいさまにおきゃくさまがきてるから…よんできてって…」
つっかえつっかえ、たどたどしい様子で少女は兄に告げる…
「お客様?誰だろう…」
特に心当たりは無いといった様子で考えを巡らす兄の袖を少女が引く…
「それがね…へんなの…とうさまもかあさま…」
「…変…どこがだい?」
「おきゃくさまのこときらいなみたい…それに…」
「それに?」
言い淀む妹を促す。
「にいさまをよんできてっていったの…でも…わかんないけど…なんか…あまりにいさまにあわせたくないみたい…だったの…」
わかんないけど…と何度も少女は小さな声で首を傾げながら付け加える。
(僕に会わせたくないお客様?それも父上も母上も歓迎していない…だけど断るわけにもいかない相手…誰だろう?…まさか!!…でももしそうなら…全て納得がいく…恐らく父上と母上は逃がすつもり何だ!僕とこの子を!)
少女の言葉から、少年は来客者が何者なのかを悟ると両親の真意を測る。
(…だが…いまここで僕が逃げれば…)
「…会わないわけにはいかない…か…妹々…お客様は殷の方だろ?」
「うん!そういってた…にいさまどうしてしってたの?」
来客が何処から来たのかを知っていた兄に、妹は不思議そうに問う…
「知ってたわけじゃないよ…ただ…多分そうじゃないかなって思っただけなんだ…」
「そうなの?でもにいさますごいね!」
「妹々…それよりね、僕にはお客様が来ている様だし…多分今日はみんなと遊べないと思うから…だから兄様に遊んで貰うと良いよ」
「にいさま…おしごといそがしくないかな…」
成人して一人前になった長兄はここ暫く独り立ちを控えて忙しく、子供達の面倒を見るどころでは無くなっていた。
そのような詳しい事情は解らずとも、利発な妹はここ暫く大人達と共に兄達が忙しそうにしていた事を知っていたのだ…
「大丈夫だよ」
賢い、優しい子だと改めて思いながら兄は妹の頭を撫でた…
―あとがき―
えーと久し振りに書きました…と言ってもこれ番外編です…本編ではありません…
ウゥー一体何時になったら本編を再開できるのでしょう…(T_T)
取り敢えず、当初の予定ではこれはもっと早くUPする予定だったのですけど…
そして、これが終わったら直ぐに本編の筈だったんですけど…予定が狂ってしまいました…(遅れた原因はネット落ちです…)
さて次回は多分『崑崙国2』になると思います、それではまたm(_
_)m
―続く―
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