「…なあ…もしかして…誰かに苛められたのか…?…もしそうなら…」

 …オレに言え…一人で悩むな。オレが守るから…オレだけはマナの味方だから…

 ―そう言おうとした…その言葉は…蒼白な表情の…(だけどどこか鬼気迫る表情の…)マナに遮られた。

 …マナ…兄さん…何を苦しんでるんだ…?…
 …一体…何が…お前をそんな風に苦しめてるんだ…?…


 
―Walker― 
         ―3―
  


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 「…どうした?マナ?何があった?苛められたのか?」
 「…○○○…あいつらが…変だって言うんです…僕のこと…○○○のこと…」
 「…またかよ…あいつら…」
 「…僕は良いんです…でも…○○○のことを悪く言うのは…」
 「……マナ…オレを庇うなよ、庇うからマナまで言われるんだ。…オレは…まあ…変に見えても仕方ないんだから…だって変な力あるし…」
 「…でも…僕は○○○の兄です。兄さんなんです。だから僕が…」
 「…ありがとうマナ。兄さん。でもオレは充分兄さんに守られてる。兄さんだけがオレの味方だ。…だから…兄さんは…マナの事はオレが守るんだ。何があっても…どんなことをしても…」

 「…兄さんを泣かせる奴はオレが許さない」

 「…ユルサナイ…」
 そう言って『弟』が呪文を唱え、『父母』に向かって不可思議な『光』を放った。

 「…待って…!…」
 叫んだ瞬間…目が覚めた。

 「…ハアッ…ハア…ハア……あっ…夢…?…」
 ベッドの上で僕は荒い息をしながら頭を押さえる。

 …でも…

 ―『弟』の『不思議な力』…

 …『あの子』が…『僕』を守ろうとして…他人を傷付けた事があるのは本当で…(…勿論『それ』は『あの子』が意識して行ったことではなかったのだけど…)

 ―『感情の高ぶり』で使ってしまう『不思議な力』…

 「…守らないと…僕が傍にいないと…一緒にいないと…いけないんだっ…!…」
 そう叫んだ瞬間(とき)だった。

 「そうですヨvあなた達は『二人で一人』なのデスv」

 ―目の前に現れたのはシルクハットを被った紳士の様な装いの…けれど明らかに人外の異形だった…
 
                                       ―続く―