―Web拍手御礼駄文『オモイ』シリーズ(アレン視点)

 ―そうして『オレ』は『あんた』と出会った…―
                      ―3―


 「そうだよっ!あんな愛想も無くて小生意気でおまけに化け物みたいな腕してる…それともありゃホントの化け物か?あんたあいつに誑かされてんじゃっ…」
 「…おいコジモ…いくらなんでも…」
 コジモの言葉を芸人の一人がそう言って窘める…
 チラリと…座長を気にしてそちらを見た後…そして僅かに脅えるようにオレを見るその視線…
 …あいつは気の小さいヤツだ…コジモの様にオレを気味悪がっているだけじゃなく…半ば本気でオレを恐れてる…
 …ケッ!お笑いだ…大の大人が…オレみたいなガキがコワイってンだからな…ハハッ…
 「……聞こえてンだよ…バーカ…」
 そうボソリと小さく呟いて…
 …バカかあいつ…オレは最っ初からここに居たんだ…ゼ〜ンブ聞こえてンだよ…
 そしてそう胸中で付け足す…
 正直オレも興味はあった…だからビラ配りに行きかけて聞こえてきたあの言葉…
 ―「…座長…なんだっていつもあいつにビラを配らせるんスか?あいつが配るとその分客が減るんですゼ?」
 あの言葉に立ち止まった…
 …ホント…なんで座長は毎回毎回っ…
 …コジモの言葉は悔しいが正しい…
 …どうせオレが配ったビラは捨てられて…それどころか『あそこのサーカスには気味の悪い化け物がいる』なんて噂が立つ…
 …その『噂』を聞き付けてやって来る物好きもいるが…オレは雑用だから舞台には出ない…そしたら…『化け物』を見に来た連中が怒って苦情を言ってきたり嫌がらせしたり…
 …確かにオレが配りに行った所で一座に取って良いことなんかねェ上に…それで機嫌が悪くなったコジモに『オマエのセイだっ』つって蹴られンだ…
 …オレからしたら新手の嫌がらせとしか思えない…
 …っ…くそっ…!…もうイイヤッ!…嫌がらせで決まりだ決まり!…
 「…それ以外にどんな理由があるってンだよ…」
 そう小さく…吐き捨てるように言って…
 …あるわけがない…
 そうしてオレはビラを握り締めてその場を走り去った…

                             ―続く―


 



                                   
第4話