「…カーテンは…まあ閉めなくてもいいとは思うけどね…」
 …ああ言っておけば、ガウリイはたぶん入って来ない…
 …あたしは…それでも念の為にと…カーテンを閉め…
 …そして…
 …次に頭に手をやり…
 …シュル…パサッ…
 …バンダナを外し…机の上に置いた…


 
―赤き存在達のフォーチュン―
              ―2―



 ―『ゼフィーリア王国・黄金宮殿』…その『玉座』の前に…
 …赤いドレスを纏った、黒髪の女性が跪いていた…
 『…そう…あの子が…それはとても楽しみね…『直接』あうのは久し振りですもの…貴女もそうでしょ?テミス』
 …そう言ったのは幾重もの薄布の幕に隠された『玉座』に『在る』…『女王』…
 「……クイーン…お伺いしたいことがございます…」
 …楽しそうな『女王』の様子に…しかし『テミス』と呼ばれた女性は重々しい様子でそう言った…
 『どうしたの?』
 「………大丈夫なのですか?」
 …暫しの沈黙の後に…ただそう問い掛ける…
 『…大丈夫よ…(…そう…少なくとも…いまはね…)…』
 …主語の無いテミスの言葉に『女王』は、ただ『大丈夫』とのみ告げて、微笑む…内心の含みを隠して…

                                  ―続く―