「…じゃあ…あたし暫く籠もるから!じゃあね!」 
 …そう…一方的にガウリイに言って、あたしは部屋に入り…
 …ドアの鍵を閉め…
 「…さあ…早く…急がないと…」
 …そう言うと…
 …今度は窓辺に行って…
 「…ここの宿は雨戸があるから助かったわ…」
 …そう言いながら窓を開け…雨戸を閉め、そして窓を閉めて、ついでにカーテンを引いた…

 
 
―赤き存在達のフォーチュン―
              ―1―

 

 ―………ナ……ナ………―

 ……う…ん……だ…れ……よ…ん…で…る……

 ―………さっさと…目覚めなさい!『イシュタル!!』…―

 …うわっ!…テ…テミス姉ちゃん!…

 ―…あんた…自分が『何をしたのか』…『解ってる』わよね?…―

 …あ…う……わ…わかってます…

 ―…それじゃあ…なんで『報告』をしなかったの?…
 …今日…『女王(クイーン)』に喚ばれて、初めて知ったのよ!…―

 …ご…ごめんなさい…姉ちゃん…その…使ったのが…不完全なやつだったから…封印も…不完全で……しかも…あたし一人じゃなかったのよ…勘が…そこそこ鋭いヤツが…一緒で…実は…いまも…それでちょっと…

 ―…フウ…もういいわ…兎に角…一度きちんと『報告』はすること。詳しい話はその時でいいわ…封印は…不完全だけど解けているのよね?…―

 …う…うん…さっき姉ちゃんに『名前』よばれたから…戻り掛けてたのが…また解けたけど…

 ―…なに?じゃあわたしが悪いって言うの?…―

 …い…いいいいえー…まさかー…そんな…つもりは…お…おかげで…思い出せました…

 ―…そう……まあいいわ…じゃあ…待っているからね…イシュ…―


 ―目覚めた時には…殆ど栗色だった…髪の一部分が…銀に変わっていた…

                                  ―続く―