「…ここが…」
 …嘘みたいだと思った…
 「…ゼフィール・シティ?…」
 …正直…常識からは外れている…
 「…ゼフィーリア王国…王都…」
 …一般的な…王都の…
 「…リナの故郷…」
 …その…イメージからは…

 
 
赤き存在(もの)達のローカス―11―


 「…あ…あの?ここ本当にゼフィール・シティなんですか?」
 …アメリアは…戸惑いながら…そう問いかける…
 …少し前に出会った…一人の神官に…
 
 ―…話は…少し遡る…

 「…なあ…アメリア…まだか?」
 「…うーん…ゼフィール・シティは王都ですから…もうそろそろ城壁なり王城なり…見えてきてもいい頃なんですけど…」
 ガウリイの何度目かの、その問いにアメリアは地図を見ながら、そう答える…
 「…でもなあ…なんか村みたいなのしか見えないぞ?」
 「…村ですか?……って!ガウリイさんそれホントですかっ!?」
 …ぶつぶつと…地図を見ながら考え込んでいたアメリアは…ついうっかり聞き逃しそうになったガウリイのその言葉に、慌てて顔を上げ、ガウリイに勢いよく詰め寄るとそう問い掛ける。
 「ああ、この街道のさきに、さっきから見えてきてるぞ」
 「…そ…そんな…地図では…確かに…じゃあもしかして…どこかで道を間違えてしまったんでしょうか…」
 …アメリアは大慌てで何度も地図を見直し…ここまでの旅程を思い返す…
 「…おっ!…なあアメリア…」
 …ぶつぶつと呟くアメリアにガウリイが声を掛ける…
 「…誰か来るぞ…」
 …街道から少し外れた…森の方を見て…
 「…えっ…」
 アメリアがそう声を出し、そちらを見ながら、身構えた時…
 …森の奥から…一人の神官衣を纏った青年が姿を現した… 

                                  ―続く―