…アメリアとガウリイは…現在(いま)…リナの故郷である、ゼフィーリアに来ていた… 

 「…なあアメリア…ゼフィーリア…まだなのか…」
 …国境を越えゼフィーリア王国の領土に入って幾日が過ぎただろうか…
 …そんなある日…ゼフィール・シティまであと少し…
 (…もっとも…土地勘がある、リナがいないのではっきりとはわからないのだが…)
 …急げば半日ほどで…今日中には着けるかとアメリアが思い…
 「…あと…もうちょっとですよ!ガウリイさん!」
 そう言ってから10分も経っていないというのに言われたその言葉に、アメリアは脱力しつつも、振り返り…
 「…なに言ってるんですか…ガウリイさん…もうとっくに!ここはゼフィーリアですよ!」
 …半ば呆れつつ…しかしすぐに…なんとか気を取り直そうと、一気にそう言った。
 「…でもさっき…もうちょっとって言わなかったか?」
 「…あれは…王都・ゼフィール・シティまでっていう意味です!」


 ……どこかでカラスが鳴いている……

 …そんな気がした… 

 
 
赤き存在(もの)達のローカス―10―


 …呆然とした様子のガウリイを叱咤し…
 …アメリアは…思い出せるだけ、説明できるだけの内容を、ガウリイから聞き出し…

 …そして…その結果…ゼフィーリアに向かう事に決めた…

 …元々…アメリア自身はリナに会ったら…
 (…出来れば一緒に来て欲しいと思っており、実際そう頼むつもりだったのだが…)
 …ゼフィーリアを目指すつもりだったので…
 …順番が変わっただけだと…気持ちを入れ替え…
 …それでも…やはり…時折…
 …リナがいたらなあ…
 …などと思いながらも…すぐに…思い切り頭を振り…
 …いけない!いけない!リナはいないの!しっかりしなさいアメリア!…
 …そう心の中で自らを叱咤した!

                                   ―続く―