―ゼフィール奇譚
      『赤き存在達のローカス』
                第2章・序文―




 ―世界(そら)は闇より暗く光より眩きし混沌たる存在(モノ)…
 …彼の眷属…『世界(てん)の御使い』もまたしかり…

                             ―ゼフィール一族伝承碑文より抜粋―

 …かって…遙か古に『この地』に『天使』現れし…
 …彼の『天使』闇と光とその狭間の力持ちし存在(もの)なり…
 …彼の『天使』と『光と闇の神々』そして我ら『この地の住人』の4者の間で『或る盟約』交わされる…
 …『偉大なる王』の御名…その『存在』の下に…

 …この時より…『この地』は『永遠』の『聖地』…
 …決して侵してはならない『禁忌の地』…
 …ある存在には『盟約の地』『約束の地』『奇蹟の地』… 
 …そう呼び称されし地なり…

                   ―ゼフィーリア王国に伝わる伝承歌『始まりの伝承歌』より抜粋― 


 
赤き存在(もの)達のローカス―9―


 ―其処はゼフィーリア王国・王宮最奥の何処かにある。
 …そう云われる『永遠の女王』の『黄金宮殿』…
 …その謁見の間の中央に黒い髪の少女と銀髪の少女が立っていた…
  
 『…そう…遂に始まるのね…』
 …玉座より透き通る様な声が響く…
 …玉座の辺りには天蓋から薄い幕が幾重にも下りており、うっすらとした影しか見えないが声と影から妙齢の女性であるだろう事が分かる…

 『…月はその輝き持て秩序を…』
 『…闇の欠片は己が闇で破滅を…』
 『…そして…』
 『…狭間に在る存在(もの)は均衡を以て維持を…』

 『…それぞれの想いが…現在…交錯する…』

                                       ―続く―