―…深い深い森の奥…白い少年は立ち尽くす…

 …少年は…幼い日…気が付いたら此処にいた…

 …『自分』が何処から来た『何者』なのか…『彼』はまだ知らず…

 …何故その森にいるのかも知らなかった…

 …だから『彼』は…『森』を出た…

 …知っていたならば…決して出なかっただろう…その『森』を… 


 
―悪魔の子―
        ―第1章―
              ―1―
  


 「……帰ってきた…ここに…」
 …僕は…此処を…
 「…出るべきじゃ…なかったんだ…」
 そう言った僕の瞳から…涙が零れた…

 …喩えどんなに…寂しかったとしても…

 …それでも…

 「…出るべきじゃ…なかった…」
 そう呟いた後…乱暴に涙を拭い…そして僕は左手を掲げた… 

                                            ―続く―