…かってイングランドの片田舎に…古い言い伝えの残る…小さな村があった…
 …しかしその村は…約11年前に…滅んだ…

 …滅ぼしたのは…アクマ…

 …奇怪現象の噂を聞き付けて、村を訪れた探索部隊(ファインダー)が見たものは……

 …滅びた村と奇怪現象の『真実』…

 …『それら』を識るのは、高らかに響き渡る伯爵の哄笑…ただ…『それ』のみだった…
  

 
―悪魔の子―
       ―第2章― 
             ―1―
 


 黒の教団総本部は騒然としていた。
 4年近く行方の知れなかった元帥、クロス・マリアンが帰還した為だった…

 ―カツカツカツカツ…
 クロス帰還の報せを受け、コムイは険しい表情で足早に門へと向かっていた。
 それは帰還したクロス及びティエドール部隊の姿が映し出されたホログラムを目にし感じた違和感…
 …直ぐに気付いた『それ』の正体…
 …『それ』はその場にいるべき人物が一人欠けていた為…
 …クロスの弟子の…『アレン・ウォーカー』がいない…

 …何故だ…?…アレンくんのイノセンスは復活した…それに…臨界点だって…しかも…クロスもいる…
 …クロスがいて…アレンくんに何かが起こる?…
 …そんな馬鹿な…

 …でも…じゃあ…何故…?…
 …何故あの中にアレンくんの姿が無いのか…?…

 …っ!…っくそっ…!…
 …嫌な予感がするっ…とにかく早く彼らの元へっ…!…

 ―そうして…そうこう考える内に門に着き…
 …コムイは…「お帰り」と告げた後で…「それで」と言い置いて…クロスに問う…

 「…クロス…アレンくんの姿が無いけど…彼はどうしたんだい…」
 …そして…その問いに…その場の空気が…確かに変わった… 

                                       ―続く―