「…室長…やはりアレンの『過去』に『なにか』あるようだ…『過去』について話が及んだ途端見る見る蒼白になり、そして倒れおった…」
 …そう言ってブックマンは…コムイに話すと決めた内容のみを伝えた…


 
悪夢―17―


 …そう…やはりアレンの『過去』には『何か』があり…恐らく…アレン自身の防衛本能かあるいは第三者による暗示の類により意図的に忘れさせられている可能性がある…
 …内容は…忘れさせる必要があるほど…恐らくは恐怖に満ちた内容…と言うことが解った…とのみ告げた…

 「…そう…それじゃあ…」
 「…うむ…無理にほじくらぬ方が良いと思う…」
 「…一応…今朝室長が言っておられたことに関しては…試してみようとは思っておるが…あまりそれもせぬ方が良いのかも知れぬ…」
 「…そうですね…じゃあ…アレンくんのことお願いします…」
 …そうして電話は終わり…ブックマンは宿に戻る…

 …そして…彼等は旅路に戻り…

 …ブックマンはラビと共に…アレンの『眠り』の様子は見続ける…

 …最初の数日は…
 …幾度か起こそうとして…そして…イノセンスの発動の有無を確かめ…
 …起こそうとすると、必ず発動するのだと言うことが解ってからは…
 …以降はそれも止め…

 …ただ…見守り続ける…

 …大抵…魘されているだけ…

 …意味の取れる内容を口にすることももうない…
 …どうやら…あの時一度切りだったらしい…

 …時に左目を押さえて…アレンは飛び起きる…
 …どうやら…アクマを感知しているらしい…

 …そういう時には…急いで寝たふりをして…アレンに気付かれ無いようにしている…

 …そうこうするうち…不意に…アレンが魘される時間が減っている事に気付いた…
 
 …どうしたのかと…考えていたら…

 …魘される日も減っていった…

 …これは…良い傾向か…それとも…考えても解らない…兎に角いまはそっとしておこう…そうジジイと二人で判断した…

                                            ―終わり―