―『あの子達』との『出会い』は『旅』の途中…偶々小さな村がアクマに襲われている時に近くを通り掛かったからだった…


 
―『ハート』と後の『使徒』二人―
                ―1―
 


 「…?…煙…?…」
 街道から少し外れた森の向こうに…うっすら煙が立ち上っているのに茶色の髪の青年は気付き呟く。
 「……この森の向こうって…確か村があったような…!…」
 そう言って煙ではなく…森へと視線を移した瞬間(とき)…
 「…ッ!…ウゥッ…!…」
 彼は両手で両目を覆う形で頭を押さえフラリと蹌踉めき片膝をつく。
 「……こ…れ…この…かん…じ…は…」
 座り込んでハアハアと荒い息をしつつそう微かに呟くと…
 「…ッ!…た…た…い…へ…ん…だ…」
 ハアハアと荒い呼吸をしつつもフラフラと立ち上がり…力無くそう呟いて顔を上げた…

 その表情は決して顔色が良いとは言えない蒼白い顔だったが…けれど真剣な決意に満ちた強い表情をしていた。

 そして彼は街道を外れ、本来向かっていた方向ではない方へと目にも止まらぬスピードで走って行った…

 …そう…森へと向かって…否…正確には煙の立ち上る森の向こう…『其処』にある筈の村へと向かって…

                                       ―続く―