…「…アレン(あいつ)のイノセンスは…『ハート』を見付けだし、覚醒させる『鍵』だ」…
…元帥のあの言葉が本当なら…
…「…これは…イノセンスであって…イノセンスではないんです…」…
…アレンの…あの言葉の意味は…?…
…あいつの『嘘』…分かりやすいようで分かり難いかんな…
…まったく…普段は全然『嘘』なんか吐けない癖に…
…!…いや…そう言えば…あいつあの時…
…「…正確には…『対アクマ武器』ではない…と言った方がいいでしょうか…『コレ』にはもっと別の『役割』があるんです…そしてそれは『僕』もまた同じ…」…
…別の『役割』…そう言ったんだ…
…それに確かこうも言った…
…「…たぶん…僕は…ブックマンの一族である君以上に…『ノア』や『千年伯爵』の『コト』を識っているよ…」…
…『ブックマン』以上に識っている?…『ノア』や『伯爵』のことを?…
「…あれは…どういう『意味』だったんさ…?…」
…あの『言葉』には…『何か』…『特別』な『意味』があったんじゃ…
「…それに…クロス元帥…」
…アレンの養父を『サポーター』だなんて言った…
「…元帥も…まだ隠してるな…」
…それも…アレンの養父のこと以外で『何か』を…
―…そういったことを考えながら…ラビは走った…
…ブックマンとフロワ・ティエドールの下へと…
―『ハート』の『鍵』―
―1―
「ユウー!マリ!大変さー!」
そう言ってラビは少し離れた…橋の下にいて恐らく自分達がいた場所…正確には…赤毛の元帥が現れた場所が死角になっているのだろう…元帥が現れたというのに、なんの反応もなかった神田ユウとノイズ・マリの下へと駆け寄った。
「テメェ!オレのファーストネームを口にするなっつっただろう!」
そう神田が青筋立ててドスを利かせる。
「そっ!それどころじゃないんさー!ユウー!」
六幻が壊れていなければ…確実に抜刀していただろう勢いの神田に…青い顔をしながらもラビは叫び…
「…落ち着け神田…それよりラビ…何が大変なんだ?」
そんなラビの様子に…ただごとではなさそうだと感じたマリが、神田の肩に手を置き宥め…
「…ちっ…くだんねぇ用だったら許さネェからなっ」
神田もそれは察していたので、舌打ちをして引き下がる…
「元帥がっ…」
「あ?あの野郎がどうかしたか?」
言いかけたラビの言葉を遮って神田が不機嫌そうに言う。
「違うさっ!ユウ!ティエドール元帥じゃねェ!クロス元帥が現れてアレンのイノセンスの事で飛んでもないこと言ったんさー!!」
―!!
ラビの言葉に…
「…クロス元帥だと…」
神田が瞠目し…
「…クロス元帥が見付かったのか!?」
マリが驚きを露わにし…
「……ラビくん…いま…クロス元帥って聞こえたんだけど…」
少し離れて…橋の下で…サポーター達と共に休んでいたミランダが…ふらつきながら…サポーター達に支えられて…
…それぞれが言う…
―続く―