序章 運命の流転
斉国にある一つの邑がその日滅んだ。
滅ぼしたのは商王国、殷王家の人狩り。
しかし、その邑にはその時、羌太公の一族が集まっていた。
羌太公は斉の国の国主だった。
その邑の頭領となる少年の12の誕生日を祝う為に彼の祖父である、羌太公はその邑を訪れていた。
結果、羌太公家は滅び、斉の国は商王国に支配されることになる。
「隣の邑が殷の人狩りにあったんだって……」
「なんでも商王国の王妃の命だってさ……」
「太公様方も捕まったって……」
「斉の城も殷の手にわたったと……」
「そんな、それじゃあ俺達は、羌族は一体どうなるんだ!殷族はこれまでも散々、羌族を迫害してきた、それでも斉までは殷の支配は及んでなかったのに……」
羌の民は皆が不安を隠せない様子でいた……
しかし、この時、彼等は遠くから自分達を見つめる一人の少年には気付かなかった…
…少年は羊を連れていた…