―玉虚宮を辞した後、朝歌へと向かう途中で、楊ゼンは再び申公豹に出会った…
…そして現在…楊ゼンはその時申公豹から聞いた事を確認すべく、崑崙教国にあると言うとある牧場へと向かっていた…
斉の国と羌太公―10―
「…大したことではありません…ただ…聞きたいことがあるだけです」
「……聞きたいこと?おぬしがか?」
申公豹の言葉に原始天尊は眉を顰める。
「…ええ…一つだけ…いえ正確には二つ聞きますが…どちらか答えられる方だけ答えて下さい…答えられる範囲で…」
「…おぬし…何が言いたい?」
人指し指を立ててそう言う申公豹に原始天尊は訝しげに問う。
「いえ…大した意味は無いですよ…原始天尊…それより…そろそろ本題に入りませんか?」
「………」
申公豹の思わせぶりな言動に原始天尊は暫し沈黙し…その後…
「…よかろう…」
…そう重々しく、嘆息を吐きつつ、答えた…
―崑崙教国の一隅にあるとある牧場へと向かう楊ゼン…
―そしてそれより数時間前…楊ゼンが立ち去ったばかりの玉虚宮・謁見の間において原始天尊に『何か』を問い掛けようとする申公豹…
…そして…
―遙かなる異空の果て…明滅する無数の大小のパネルに映し出される…
…様々な時間…様々な場所での…様々な出来事…
…パネルに映し出される様々なビジョンを見やりつつ黒衣の人物は、僅かにフードの隙間から伺えるその口元は微かに口の片端が上がり不敵な笑みを形作っていた…
―続く―