封神計画―プロローグ―

 ―大学入学―
 呂望は来春、大学部に飛び級で入学、特例で名誉教授である、原始天尊の研究室への所属、同時に崑崙グループへの所属が決定していた。
 「呂望よ、紹介しよう、普賢はおぬしの同期の兄弟弟子じゃ……」
 その日崑崙に来た呂望に、原始天尊は普賢を紹介した……
 それから六ヶ月後、入学式当日……
 封神学園は封神グループが運営する、超マンモス学園都市である。
 そのため、この学園では飛行用宝貝や霊獣等、様々な交通手段が許可されているが、なかにはそれらを持たない者もいるため、宝貝電車を始めとする様々な交通手段が整備されていた。
 「望ちゃん、今日から僕ら大学生だね……」
 「普賢、まだ式まで時間あるよな、少し寄りたい所があるんだけど……」
 「いいよ、僕もつきあうよ」
 「すまない……」
 「望ちゃん、僕の一番はなんだと思う?」
 「なんだよ、いきなり……」
 「ふふ、内緒、さ、行こう……」
 呂望と普賢は一週間前から、研究所に泊まり込んでいた…… 
 
 封神学園の進級制度は少し特殊である。有能、或いは才能があれば本人次第で大学までは割とあっさり入れる、呂望と普賢の12歳にして大学入学というのはさほど珍しい事では無かった。
 この二人の特例事項とは、半年後、後期よりの正式な大学院進学いや、実質的には大学入学六ヶ月前から、すでに大学院入りを果たしていたという事だろう。尤も極秘(一部関係者を除いて)のことだが。
 だが通常この学園では大学院への進学は極端に難しくなる。
 それはこの学園の進級制度やカリキュラム等の特殊性に原因があった。 
 そのため各種研究機関・大学院と大学部は複雑且つ単純な関係にあった。
 それから約五十年後……
 いつもと同じように二人は川に遊びに来ていた。
 「普賢、卒業するそうだのう……」
 釣りをしながら、太公望が言った。
 「うん、でも卒業しても教授として学園には残るからあまり変わらないけどね……」
 「蓬莱グループから声が掛かっておるのであろう……」
 何気ない様子で太公望が言う。
 「いかないよ」
 「なぜじゃ、蓬莱は封神グループの最大組織、いわば栄転じゃ……」
 「それじゃあ、これがもし望ちゃんだったら、望ちゃんは蓬莱にいくの?」
 「何をバカな、わしのような怠け者のアホ道士が蓬莱に入れるわけが無かろう」
 「だから例えばだよ、僕らの立場が逆だったらって……」
 (それに…望ちゃんのは計算ずくの演技じゃない、実際、例えどころか、本当は…)
 「有り得ぬよ、仮に有り得たとしても、わしはこれでも一応、羌グループの後見でもあるのだぞ……」
 「そう言って断ったの?」
 「例え話であろう、なによりわしは面倒は御免じゃよ…」
 「…それぐらいおぬしなら分かっておろう……」
 「…望ちゃん、僕はずっとここにいるよ、そう決めてるんだ…」
 (そう、望ちゃんのそばにいるって……)
 「…普賢、おぬし…」
 太公望はほんの少し嬉しそうに呟いた……
 ―つづき―

 ―あとがき―
 舞台背景は、WJ封神と大差ありません、それと企業や学園等のような現代要素とのミックスでファンタジー風パラレルです…
 いずれ細かい設定は徐々に(ネタバレにならない程度に)発表していきます。