「…随分と大きな歪みが発生したと思ったら…どうやらあれの発生点は貴方の世界のようね…」 
 宝玉の安置された石柱を見つめつつ女は背後に顕れたその存在に声を掛けた…
 「そうだ…そなたの手を借りたい…頼めるか夢幻を紡ぐ存在(もの)よ」
 「…別に良いけれど…出来ればその銘はよして欲しいわね…槃瓠」
 「すまぬ…だがそう言うのならばおぬしの方こそわしをそう呼ぶのは止めて欲しいのぅ」
 「貴方の方は伏羲と呼ぶのと大差ないでしょうに…やっぱり気になるのね…でも先に呼んだのは貴方の方よ太昊」
 「…だからすまぬと言うたのに…おぬしの方こそ随分と気にしておる様だが…其程に重いか螺旋よ…」
 「…あなたが嫌がる程度には…ね…」
 「…それは…すまなんだな…」
 「いいわ…気にしてないから…それにほんとは解ってるから…」
 「うむ…では本題に入ろうか…」


 
―ラビリンス― =序章・1= 《螺旋‐1》


 …其処は不思議な部屋だった…
 …部屋の所々に置かれたカンテラや燭台・ランプによって明かりがとられている為か…その部屋に置かれている様々な事物の為かは判然としないのだが…
 そしてその部屋にはいま二柱の人為らざる存在が在る…
 両者は見た目にはごく普通の人間の年若い男女の姿をしていたが、しかし到底人とは云えぬ存在であり、悠久の時を在り続けた存在達であった…
 そして女の方こそがその部屋否その空間の主であった…
 女の前にいるその男は女を訪れた来訪者であった…

 そしてあるものは、彼等をそれぞれこう呼んだだろう…女は螺旋、男は伏羲と…

 「…それで…実際貴方はどうするつもり?私は別にこの程度の歪みで事を荒立てるつもりはないけれど…騒ぐ奴は騒ぐでしょうね…」
 螺旋はそう言うと部屋のあちこちに置かれた鏡や水晶等のアイテムに視線を向ける…
 「むう…やはりおぬしもそう思うか…」
 「ある程度クラスの奴ならこの程度の事些細の一言で済ませてしまうんでしょうが…それじゃあ済まない奴らもいるからね…私の処と貴方の処は私達がそれぞれ声を掛けておけば…まあ大丈夫でしょうけれど…問題は…」
 「他の界の奴らか…尤もわしの処もまったく問題が無いわけではないがな…まったく他の界に迄被害が広がった為とはいえ…面倒な事よ…」
 「だから此処に来たんでしょう?」
 「まあな…おぬしのその夢現の能力久し振りに解放してくれぬか?」
 「貴方が何を言いたいのかは解るわ…まったく…貴方にも出来るでしょうに…」
 「わしは使えるモノは何であろうと使う主義なのだ!そして自分は楽をするのだ!」
 「…変わらないわね…そういうところ…尤もそういうところが気に入ってるんだけど…」
 「…では頼まれてくれるのだな!」
 「いいわよ…でも私は私が手伝える事をするだけだから、貴方は貴方の遣るべき事をしっかりやってねv」
 「うむ!ではさっそくだがおぬしには各界における歪みの発生ポイントと、それと恐らくは歪みに呑み込まれ何処かの世界に跳ばされたであろう者達の出現ポイント及び現在位置等を割り出して欲しいのだ!それと出来れば大まかでも良いからその世界の情報も頼む!」
 「それだけでいいの?」
 「うむそれともう一つ…頼めるか?」
 「出来るだけ頑張ってみるわ…それじゃあ最初のポイントをその情報を教えるわよ…でもちょっと厄介な処だから気を付けて…」
 「何処なのだ?」
 「最初のポイントへは其処の扉から直通の通路を繋げてあるわ…」
 「と言う事は普通の処では無いのだな」
 「ええ、扉を安全な処に繋げる事も出来るけれど…肝心のポイントがある処は、あの世界では最も危険なそして恐ろしい街なのだから…」
 「だから直通の扉がある場所を正確な形でわし自身が認識しておいた方が良い…ということだな…しかし…おぬしがそこまで言うとは一体どういう街なのだ?」
 「…そうね取り敢えずここにあるガイドブックなんかを参照にするといいと思うけれど…一言では…その名の如く…としか言いようが無いわね…」
 「本気でどういう街なのだ…」
 パラパラとガイドブックを捲りながら冷や汗を垂らし簡略太公望は言う…
 螺旋は遠い目をし、重々しく口を開く…
 「その街の名は新宿―魔界都市・新宿…魔震(デビルクェイク)によって生まれた魔都」
 
 …そして螺旋は視線で指し示し言う…この扉の向こうが最初のポイント魔界都市・新宿と呼ばれる街で最も危険な場所の一つに上げられる場所なのだと…
                             ―続く―
 ―あとがき―
 殆どセリフばっかりで描写がないですね…
 一応理由はあります…彼等は真剣に会話しかしていなくて描写するほどの事がないからです…
 部屋の描写があまりないのは仄明るいだけであまり周りの様子がよく解らないからです…それと…あとはちょっと特殊な空間だというのが理由です…部屋の主人の気分次第でころころ変わるような…
 …それにしても今回螺旋の謎が深まりましたね…設定を出せば出すほど謎の深まる様なオリキャラを出して一体どうするんでしょうね…
 なんて出しゃばりなんだろう…(シミジミ…)
 「他人事の様に言ってないの!」 グサッ!!(何処からともなく現れた謎の金髪美女によって棘つきハンマーがRINに向かって振り下ろされる…)
 …グッフッ!「嗚呼油断してた…何で……様が……に…」(何だか赤いものを垂れ流しながら力尽きるRIN…)
 「いやーねvそんなの決まってるじゃないvネェ螺旋v」
 そう言って優雅に紅茶を飲む謎の金髪美女…
 「そうよね〜vさっさと遣る事やん無いあいつが悪いのよね♪ねぇ貴方もそう思うでしょ伏羲v」
 にっこり笑う謎の金髪美女に同意しつつ、やはり自分も紅茶を飲みながら伏羲にと話しを振る螺旋… 
 「ウ〜ム…しかしわしは出来るだけ怠けたいからのう…」
 遠い目をしながら桃マンと仙桃を囓りつつ、いかにもと言った答えを返す伏羲…
 
 ―三人?はそのままお茶会へと突入していく…

 ―そうして何者かの手により大急ぎで引かれる幕―

 ―最後に出てこられた謎の金髪美女はこれから出てくる事になると思います…別にオリキャラでは無いです…
 さてこのお方は誰でしょう?ヒントはRINのセリフにある『…様が…』と言うのと、棘つきハンマー!そして金髪です!
 何だかヒントがいっぱいあるような気がしますが正解者には突発リク権を進呈いたします!
 企画としては複合企画記念突発リク権プレゼント企画第三段となります。キーワードは複合企画第三段と略したので結構です。
 応募期間は取り敢えずこのお方が出てこられる迄とさせて頂きます。
 但し掲示板に正解を書いた方がおられた場合はそれで終了とさせて頂きますm(_ _)m
 ―それではまたの機会に―RIN―