「……遅いっ!!」
 イライラしながらクロスは煙草に火をつける。
 「ちっ!」
 火を付けて吸って…そしてすぐに舌打ちし捨てて、その苛立ちをぶつけるように踏み潰して消す。
 ―ダンッ!!
 拳で壁を殴りクロスはその拳に額をつける…
 「……あの馬鹿弟子がっ!帰ってきたらぶん殴って…」
 …そこまで言ってクロスは黙る。

 「……『帰ってきたら…』か…」
 そう呟いてまたもマッチを擦り煙草に火をつけた…

 ―…足下には無数の…碌に吸った形跡さえない煙草の吸い殻が踏み潰されていた… 


 
家出少年の事情―8― 

 
 『方舟』の『外への扉』が開いた。
 目を閉じて緊張に表情を強張らせた『馬鹿弟子』が入ってくるのが見える…その様子に…
 …ああ…帰ってきたのか…
 そう思う…
 
 恐々とした様子の『馬鹿弟子』に…ホンの少しだけ『待たされた』溜飲が下がる。
 …と同時に腹が立つ…
 何故なら…『あれ』が『なにも解っていない』から…
 
 …まあ…『あいつ』に気付かれるのはもっと『アレ』なんだが……だが……

 そんな矛盾した…そして我が儘な不満を抱きながらクロスは恐々とする『弟子』の様子に『あること』を思いつき「ニッ」と口の端を歪める。

 その顔には先程までの不満の色は無い。どちらかというと…『悪戯』を思い付いた『子供』のような…そんな表情(かお)…

 「オン a(アバタ)u(ウラ)m(マサラカト)」
 小声でクロスはそう呟き、印を結び…
 「導式解印(オン・ガタル)」
 …詠唱を唱えた。

                                        ―続く―

 ―あとがき―
 …済みません、もっと早くUP出来るつもりだったのですが…体調不良だのなんだのが重なって…
 申し訳ありませんでした<(_ _)>

 …まあそれでもギリギリ『9月中』に間に合いましたが…ハハ…ハ…
 ……本当に遅くなってしまいました、申し訳ないです<(_ _)>

 …そして…まぁた師アレにならなかった…うぅ…
 …イエその…師アレシーンを書こうかなぁと思ったんですけど…その前になんか師匠サイドも書いておいた方がいいかなぁって思っちゃいまして…そんな訳で…師アレシーンは『また』次回以降に持ち越しと言うことに…楽しみにしておられた方、おられましたら済みません<(_ _)>

                                  ―それではまたの機会に―RIN―