…名前も知らないどこかの街を出来るだけ早足で移動する…街から出るために…

 …街の外に出てから…『自分自身』の『方舟』に乗るために…

 …スタスタ歩いて街の外に出ると、その城壁の影に行き…

 そして人目がないのを見計らい『ゲート』を開いた…


 
家出少年の事情―7―  


 「遅かったな」
 『方舟』に入った途端に聞こえたその声に僕はギクリとする。

 ―『いつも以上』に『低い』声…その響きに…

 …お…怒ってる…

 僕は気付いて瞬時に固まる。

 …や…やっぱり…帰るの遅れたから…

 「…た…ただいまかえりました…遅くなって…すみませんでした…師匠…」
 固まったまま僕は言う…

 ………………

 ―落ちるのは沈黙…

 …あれ…?…

 僕は『それ』に疑問を抱く…

 …だって…

 …てっきり…殴られるか(嫌だけど…)…それか…嫌味を言われるか…怒鳴られるかのどれかだと思っていたから…

 …だから『その沈黙』の『意味』が解らなくて僕は疑問を抱いた。

 …けれど…

 ―!
 『なんでだろう』そう思っていて…不意にハッとする。

 …もしかして『これ』は『嵐の前の静けさ』とか言うヤツなんじゃ…
 そこまで考えて僕は蒼白になると…
 「しっ!師匠っ!」
 慌ててそう言って顔を上げた…

                                       ―続く―

 ―あとがき―
 うわー申し訳ありません<(_ _)>
 …いつ以来だろう…
 『こちら』は本気で久方ぶりです。
 もうご無沙汰過ぎですね。本当に申し訳ないです。
 
 ―そして漸く師匠の再登場なんですが…予告してた師アレシーンにはまたしてもなりませんでした…
 …次回以降になりそうです…
 楽しみにしていて下さった方、もしおられましたら、改めて『申し訳ありませんでした<(_ _)>』。

 『神』シリーズは今月優先なので…次回入荷はそんなに遅くはならないと思います。

 ※それと今回は『…ディスティニー…』マテール編第34話も入荷します。

                             ―それではまたの機会に―RIN―