…真実(ほんとう)はわかっていた…総て…
 …それでも…足掻いたのは真実…
 …その思いは…真実…


 
―垣間見えし真実―《前編》


 …夢の中の夢の中で深く深く休むがいい…
 倒れ伏す太公望にそう言うと、太上老君は其処から姿を消した…

 太公望はいつの間にか玉虚宮に居た…
 「これは…わしは老子の夢の中にいた筈…それに玉虚宮は…ではこれも夢か…」
 きょろきょろとあたりを見回してみると、麒麟崖の辺りに見慣れぬしかし何処か懐かしい感覚を覚える少年が立っていた。
 何故か無性に彼と話しをしてみたくなって、太公望が話し掛けようとした時だった…
 また見知らぬ人物が太公望の前に現れた。
 その人物は太公望にはまるで気が付かず、凄まじいまでの仙気を放ち、少年のもとに走り寄った。

 「王奕!金鰲に行くというのは本当か!」
 「騒々しいぞ燃燈」
 王奕と呼ばれた少年は振り返り、透徹した瞳を、彼が燃燈と呼んだ青年に向ける…
 「うっ!済まない…だが!いまあそこがどのような状況なのか分かっているだろう!」
 一瞬その瞳に射竦められるようにたじろぐ…が直ぐに気を取り直し詰め寄る!
 「だからこそだ…これは原始も了承している、いずれ時が来たならば通天教主が人質交換を言い出して来るだろう…」
 「その時にと言う訳か…」
 「そうだ。そしてその時私は我が身を分かち、総てを封じる」
 「それで良いのか!そんな状態で金鰲に行ってお前が無事でいられるという保証はあるのか!」
 「無事である必要など無い、計画が違う事無く遂行される事こそ必要なのだ」
 キッパリと言い放つ…
 「王奕…お前…」
 「それに燃燈よ、そなた人の事よりまずは己の事を心配せよ」
 「どういう事だ?それは?」
 「そなたは近い内に崑崙を出る事になる、それを忘れぬ事だ」
 王奕はそう言うと、話しは終わったとばかりに踵を返し玉虚宮の奥へと去って行った…

 王奕が去って行くのを見送ると、不意に辺りは薄暗い何もない空間へと変わった…
 「これは…一体…」
 太公望は再びきょろきょろと辺りを見回してみるが今度は誰も見つける事は出来なかった…
 
                   ―続く―
 
 ―あとがき―
 遅くなってしまいました、そして続いちゃいました…済みません<(_ _)>
 さてこれは高崎相様からのリクエストにより書かせて頂きましたものです。
 リク内容は『太公望と王奕』(WJよりの設定で)との事でしたが…
 何故か燃燈さんと老子が…
 取り敢えずこれを送らせて頂こうと思いますが…ご不満があれば仰って頂ければ、時間は掛かると思いますが書き直しを致しますので、どうぞ遠慮せず仰って下さいm(_ _)m
 それとこの続きは出来る限り早めに仕上げて送らせて頂きたく思いますのでいま暫くお待ち下さい。
 お願いしますm(_ _)m
 
 ―それでは相互リンク並びにリクエストどうも有り難う御座いました。―RIN―