記憶なんて、要らない。

そう思ったのは何故だったか…

覚えていることで苦しくなるからだったと思う。

『俺』は臆病だ。

人間が死ぬのが嫌な訳ではない。

寧ろ組み込まれているかのように無意識に…

血を見ると感情が高ぶった。

嫌いなのは、人が消えることだった。

怖いのは、人が消えることだった。

何時か、周りには誰も居なくなってしまうのかもしれないと考えてしまうから。

だから、記憶なんて要らない。

でも勝手なことを考える。

大切なことは忘れたくないよ…