―ピチャリ…

 …なんだ…水か…

 ―膝上辺りで触れた『ソレ』…

 ―!…

 …なんだ!?…なんでこれ…!?…この匂いっ…!?…

 暗かったから最初は気付かなかった…その…凄まじいまでの『鉄臭さ』…


 ―『ソレ』は…『血』…

 …僕は…『血の池』に浸かっていた。


 
―黒白エスケープ―
         ―第1章―
             ―1―
  


 「…なっ…!…これっ…血っ…!?…どうしてっ…!?…」
 膝上まで一面血が埋め尽くしていた。大量の血液とそれを証明するかの如く噎せるほどの血臭…
 その…あまりの様子に驚き混乱していると…その『血液』で出来た『水面』に『変化』が現れる。
 「!?」
 それに驚き目を見開く。

 ―『血液』だと…そう思っていた『ソレ』に起こった『変化』…

 …それはまるで…生きて…そして自ら『意志』を持っているかのように…一部が隆起し…更に『ソレ』は…細く長い手足の様に『変化』すると…

 ―瞬く間にアレンを絡め取り…そして…呑み込んでしまった…

                                       ―続く―