「ユイの君」
暗部任務の報告に火影邸に来ていた、ツイナは、暗部装束で火影邸内を移動中に、そう一族の者しか呼ばない呼び方で、呼び止められた。
「なんだ、カコク」
ツイナがそう呼んだ者も、やはりツイナ同様の暗部装束を身に纏い、そしてツイナの背後に跪いていた。
「ハッ、日向当主がお目通りを願い出ております」
その言葉に、ツイナは面の下で微かに眉を寄せ…
「ヒアシ殿がか…解った、11時に『斎樹』の『本家』でお会いすると伝えろ(…丁度今日の下忍任務は休みだ、昼の前後、1時間か2時間くらいはなんとか空けられるだろう…)」
…暫し考えた後にそう答えた…
「御意」
木ノ葉の名家―序―
「ヒナタ、これから出かける、母上と共に支度をしなさい」
ヒナタが任務に行こうとした、その時、背後から父・ヒアシに呼び止められ、そう言われた。
「…ち…父上…でも…これから任務が…」
…ヒナタは…父の重々しい雰囲気と…しかしこれから任務に行かなければならないという状態に…戸惑いながらも…なんとか…父に任務の事を告げようと必死で口を開いた…
「任務のことなら心配は要らぬ。今日のおまえの任務は休みとなった。早く母上の所で支度をしなさい」
…そう早口に言うと、ヒアシは早足で去って行った…
「…おや…すみ……でも昨日は確かに…」
…去って行く父の背に…ヒナタは呆然と立ち尽くし…それだけ呟いた…
―続く―