「私の好きな男性(ひと)は同じ下忍の…『うずまきナルト』くんです」
 …そう口にした時だった…
 …目の前に…そのヒトが現れたのは…


 
木ノ葉の名家―6― 


 …一瞬…キラッと『何か』が光ったように見えた…

 …そして…その次の瞬間其処にそのヒトはいた…

 …目の前に現れた…そのヒトは…

 …黒い髪に黒い着物…そして…微かに薄く朱色に染まった…狐の面…

 …だけど…僅かに…重なる…『金色』の…その…『輝き』…

 ―…知っている…
 
 …ヒナタにはわかった…

 ―…私はこのヒトを…

 …目の前にいる相手が…

 ―…知っている…

 …だって…いつだって…どんなに『姿』が変わっていたって…
 …ヒナタには『そのヒト』だけは『わかる』…その自信があった…

 ―…だって…はじめてあった『あの時』から…私は…

 …そう…

 …ヒナタはいつもわかった…
 
 …名前を教えては貰えなかった…『はじめてあったあの時』から…

 …そして二度目…再会は思いの外早くて…名前を聞いたら、教えられないと言われて…結局…仮の名前だけ教えてくれた…

 …三回目は…姿が違っていた…髪の色が…けれど…こちらの方がたぶん本物なんだろうとなんとなく思った…

 …名前や姿のこと…他にも色々と隠しているように見えた…

 …正直…何度も知りたいと思ったし…聞きたいと思った…

 …でも…『貴男』は『あの時』の…あの『幼い日』の『二日間』をまるで知らないようにしているから…

 …きっと訳があるんだろうと…思った…

 …何か…特別で…大切な…理由(わけ)が…

 …だから聞くのをやめた…知りたいと思う気持ちを押さえ込んだ…

 …変わりに『貴男』を見つめ続けた…

 …想い続けた…


 …だから…この時も…ヒナタにはわかった…

 …目の前のヒトが『誰』なのか…

 …そうして…

 …『ソレ』を自覚する…

 …「目の前に『彼』がいる」という事実と…「先程自分が一世一代の覚悟で口にした『告白』」を「よりにもよって『彼』本人に聞かれたかもしれない」という事実を…

 …自覚して…ヒナタは恥ずかしさのあまり卒倒した…

                                       ―続く―